Nobel
□戦争嫌いの理由
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あの時、フランシスから彼が死んだと聞かなければ、自分はずっと彼を待ち続けていたのだろうか。
最近、ふとそんな事を考える。
戦争なんて無くなれば良いのに、そう思った回数なんて知れない。
大好きな祖父も、大好きな友達も、戦って滅んでいった。
だけど、国…殊更、主要国である限りどうしても戦争の渦中へと行くのは必然であって。
また、新しく出来た友達も敵対したり、仲間になったり、やっぱりみんな彼等と同じであって。
どうしようも無いことなのだ、と、胸の中は半ば諦めたような感情に支配され、笑うしかなくなるのだ。
―…ねえ、菊。菊は何で、そうまでして戦うの?
………菊まで俺を、置いて、行かないでよ…。
紡ぎかけた言葉は、ふわり、菊の微笑みに解れていった。