Short-novel

□バレンタイン
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今年もやってきました。
あたしの嫌いな年間行事TOP3に入る行事。
『バレンタインデー』

――――――

あたしが通ってる学校。
氷帝学園。
かなりのお金持ち学校。
あたし、有栖川花憐は、この氷帝学園の中3。
もうすぐであたしは、氷帝学園の高等部に行く。

で、その前に待ち受けているのが、バレンタインデー。


あたしには、好きな人がいる。 同じ中3で同じクラスのあたしより背が低い男の子。
『向日岳人』
そして席も前後だったり…。

考え事をしてるともう教室の前まで来ていた。

―――――

『おはよう、向日くん。』
あたしの好きな人がいる。

『ん??あ、おはよう。有栖川。』

いつも挨拶。
でもいつもと違う。

手を差し出された。

『ん??え??』

正直わからない。

『チョコ!!』

うぐぐ…。
まぁ作ってきたけどさ。

「向日くぅん!!私のチョコレート受け取って!!」
「あ、ずるぅいっ。私のも受け取って!!」

廊下がうっさい。

『ごめん、有栖川。ちょっと行ってくるね。』

『いってらっしゃい。』


あら、いっちゃった。

今思った。
向日くん、絶対に好きな人がいるよね。
あれだけファンがいればいるよね。
それであたしがあげたら、迷惑だよね??

――放課後――

あたしは教室から外で練習しているテニス部を見ていた。
そういえば向日くんがいないな。どうしたんだろ。

ガラッ

勢いよくドアが開いた。

『有栖川っ!!』

『む…向日くんっ!?』

テニス部の練習にいなかった人がここにいる。

『練習は??サボっていいの??跡部が怒るよ??』

『知らん知らん知らーん!!そうそう、有栖川。チョコ!!』

突かれたくないところを突かれた。

『チョコいらないでしょ??』

あれだけもらって、まだチョコいるのかな。
かなりの甘党なのかな。
あたしの中の甘党っていったら、立海の丸井くんが…。

『はぁっ!?いるに決まってんだろっ!!』

どんだけチョコ好きなのかな。 あんなにもらって、まだ足りないわけ??

『あんなにもらってたのに、まだいるの??』

だってそうだし。

『………。たくさんのやつにもらうより、有栖川…。じゃなくて、花憐からもらう1つが嬉しいの!!』

『え??もう一回言って??』

聞き間違えだろう。
そう思いたかった。

向日くんの腕の中。
背が低くても、腕はとても頼もしくて。
腕の中というか、抱き締められている。

『むか…ひくん??』

『ねぇ、返事は??』

そんなの決まってる。
ずっと好きだったから。

『あたしも向日くんが好きです。』

素直な思いを伝えた。

『不合格〜。名前で呼んでよ。』

岳人と言えばいいのか。

『が…岳人のことが好きです。』

『合格っ』


岳人の手が頬に触れた。

(( チュッ ))

リップ音が響いた。

『花憐の唇、いただきました。チョコ!!』

『はい、どうぞ。』

岳人は、あたしが渡したら、早速リボンをほどきはじめた。
そしてチョコを食べ始めた。

『美味しいっ!!
…………花憐。』

軽い手招きをされた。

『ん??』

(( チュウッ ))

長い長いキス。
岳人の舌があたしの口内に入ってきた。
そして器用にあたしの口内を犯していく。

甘いチョコの味がした。




END

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