Short-novel

□え!?
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今日は少しだけ早く家を出てみた。
とは言っても、10分で着く距離。
そしてもう、教室。


(( ガラッ ))

『おはよう、花憐さん。』

いつも私に一番に挨拶をしてくれる周助くん。

『周助くん、おはよう。』


今は6月。
この3年6組になって、もう2ヶ月がたった。

周助くんは、なぜか私のことを( 花憐さん )と呼ぶ。
なぜだろう。

同じクラスになったのは、今回が初めて。
なのに周助くんは、1年の頃から私を知ってたみたいで。

まぁ私も知ってたけど。
すごくすごく人気者だし。
毎年、バレンタインデーはすごいことになってる。

サラサラの栗色の髪。
細く綺麗な指先。
天使のような笑顔。

みんなが周助くんに惚れるのもわかる。
私も惚れちゃってるし。


『…………さん』

でも周助くんは私のことなんてどうとも思ってないだろうし。
周助くんと違って、美形じゃないし。

『花憐さん。』

『ん??なに??』

『さっきから呼んでたのに…。もう学校終わったけど??』

終わったけど??
終わった……??
六時間目まで??

『終わった…の??』

『うん、ほら。4:15。』

『うっそー!!』

せっかくだから聞いちゃおう。

『ねぇ、周助くん。』

『なに??』

緊張してきた。

『あ、あの…、なんで周助くんは、私のことを花憐さんって呼ぶの??』

『……!!』

あら??ん??
周助くんが口開けて固まってる。え??

『あのー、周助くん??』

『うそ…。本当にわからない??ずっとわかってるかと思ってた。』

わからない。
本当にわからない。

『どういうこと??ですかね??わからないです。』

『ハァ…。』
『簡単に言うと、花憐さんのことが好きだから。
だから花憐さんって呼んでた。』

好き??
周助くんが私を??

『うそ…。』

『嘘じゃないって。これで嘘って言えるかい??』

(( ギュウッ ))

『えっ』

『言える??』

『言え…ない。私も…周助くんのことが……、好き。』

やっと言えた気持ち。
これほど幸せな日は無い。

『ありがとう。花憐。』

花憐って呼ばれた。
あたしも周助って呼ばなきゃ、だよね。

『私こそ。ありがとう、周助。』



(( チュッ ))

『ごちそうさま。』

『////……、うん。』



『大好き、周助。』

『大好き、花憐。』


end.

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