Short-novel

□貴方のせいです。
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私の弟、岳人が屋上から飛び降りたのは一週間前。
原因は、知っている。



―――――――――――



『岳人、起きてる??』

そう言いながら私は、岳人のいる病室の扉を開けた。
昨日と同じで岳人はまだ目を覚ましていなかった。
点滴をされて、痩せ細った岳人は以前のような強気な岳人ではなくて。


見るたびに辛くなる。


私は、少し前のことを思い出した。



――――――――――――



岳人がいじめられ始めたのは、2ヶ月くらい前だった。

理由は、岳人が暴力事件を起こした。というものだった。
当然、岳人はそんな事件を起こしていない。
根拠が無いのに、テニス部レギュラー陣は信じきっていた。
岳人は、レギュラー陣に信じてもらえると思っていたらしい。


自分はやってない。
そう言えば、信じてもらえると。


しかし、レギュラー陣は信じなかった。
そして、一番私がびっくりしているのは、岳人をいじめていたのはテニス部だけということ。


岳人が暴力事件を起こしたという嘘である真実は、テニス部しか知らない。
一般生徒は、知らない。



そんな岳人の心は、もう治らないぐらいに砕けボロボロになっていた。
だが、一人だけテニス部に味方がいた。

日吉若、だ。

普通、忍足侑士だとみんな思うのだろうけど。


―――――――――――


〔ガラッ〕


『どちら様??』



扉を開けた先にいたのは、岳人を裏切ったテニス部のレギュラー陣。
おそらく開けたのは、跡部景吾だろう。



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