水色の糸

□光
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「おーい、楓ー」

「……何」

「京子さん怪しむし、もう行こう」

「ん〜、立ち上がらせてー」

「何、そんな嬉しかったの?」

「……察しろ」


あれから、多分丸々10分はここに居座っていただろう。
最初はマキオも結構驚いてたが、すぐに呆れたようなため息を吐いて何もいわずに私の隣に立っててくれた。
なんていうか、本当にいい人だな。
私のわがままにことごとく付き合ってくれるんだから。
あ、そういえば。


「私とマキオって今日知り合ったんだっけ、それも数時間前」

「え、何いきなり」

「なんだかすっごく甘えさせてくれるからずっと一緒にいた感じがする」

「自覚はあるのか…」

「いーいひとだねぇ」


あ、今、私どんな顔してるんだろう。
人様に見せられるような顔は、きっとできてない。
うつむいて、マキオの見えないほうに回ると、意図を汲み取ってくれたのか、私のほうは見ようとはしてこなかった。
私って、わがままだよなぁ、本当に。
急に別世界から着ました、井浦君に気に入られたいからキャラ作ります、住む場所がないので住まわせてください、挙句、会いたくないから一緒にサボれ。
……改めて考えたらひどいなこれ。
あれ、人に極力関わらない私どこに行った。
つい最近まで人と顔を合わすのも嫌いだった私はどこに行った?
…あぁ、もう。
普通って、おもいっきし意識してるじゃん。
今まで暗くしてた分が爆発した感がヤバイ。
でも、たったの一日で、随分落ち着いたもんだなぁ。
皆がいい人すぎるんだろうなぁ。
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