水色の糸

□普通
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「姫野さん!」

「へ?あっ、はいっ」

「先生に呼ばれてるよ?」

「え…」

「転校初日に俺の授業聞かないとはいい度胸してんな姫野」


しかも安田先生の授業ー!
教科書は出てる、ボーっとしつつも取り出したのか。


「あ、その、すみません」

「ったく、いつもなら相談室で二人っきりで説教するとこだが…」

「安田問題発言ー!!」

「うるせぇ!203ページの長文訳せたら許してやる」

「はい…」


203ページ…多くないよ?
しかも簡単、安田先生優しいなー。
私がすらすらと訳していくと、周囲から感嘆の声が上がった。


「姫野さんすげー!」

「え、はい?」

「おい、姫野、ここ片桐だぞ」

「はい、知ってますけど…」

「八阪じゃないぞ?本当に間違ってねぇんだよな?」


八阪…晃一のいるところか…
晃一しかいないし別に行きたいとは思わないな。
あ、樫には行きたいかも、マッキーいるし。
でもな…レベルが低い上に井浦君いないしな…


「間違ってませんよ?」

「姫野は特別枠で転入テスト無しって、こういうことだったのか…」


へぇ、そんなことになってたんだ…
まぁ、自慢じゃないけど、どっちかって言うと頭はいいほうだし。
それ以前に勉強以外では特に家でやることがなかったし。


「あの、終わりましたけど…」

「あー、もういいぞー、もう授業も聞かなくてもいいぞー」

「え、な、なんでですか?」

「お前の周りのやつらとお前のレベルにはっきりとした差が存在しているからだ」

「は、はい?」

「安田ー!偏見!」

「偏見じゃねぇ!だったら須田お前こんなにすらすらと訳せたのかよ!?」

「言ったの俺じゃないでしょ先生!」

「うるせぇよモテる男子!」

「偏見じゃん!!」


えっと…難しいところだったのかな、今の?
うーん、わからん。
ふざけているのだろうか、本気なのだろうか。
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