水色の糸

□会いたかったよ、君たちに
2ページ/9ページ

「「「「「「「「ええぇえええぇぇえぇぇぇええええ!?」」」」」」」」

「……幻覚じゃなかったよ仙石さん」

「お、俺に言わないでくれ井浦君!というより、この鏡一体どんなつくりに!?」

「ほら、堀さん!いい線いってたでしょ!?」

「魔物のほうがまだ説明ついたわよ!!」

「吉川、俺また変な夢見てるのかもしんない」

「あ、これトオルの夢?」

「お、おお、お落ち着いて皆…」

「いや、まず桜が落ち着いてよ!」

「綾崎さん落ち着いてますね…」


少女は気を失っていて、いまの彼女たちを落ち着かせる術は何一つない。
そんな中、騒ぎの原因を作った鏡は、いきなり音を立てて粉々に割れてしまった。


「きゃーーー!!!!」

「井浦君大丈夫!?けがしてない!?」

「宮村ありがとー心配してくれて!!」

「井浦はどうでもいい!そのこ大丈夫!?」

「吉川さん超ひどい!大丈夫みたい!」

「おい、説明書落ちてるぞ」

「石川君何言って…」

「落ちてるだろ?」


鏡があった場所には、一冊の説明書が、確かに落ちていた。
その表紙には、でかでかと説明書と書いてあり、怪しいことこの上ない。
だが、これ以外に今の状況に収拾をつける術がないのも事実だ。
堀は恐る恐るといった感じに説明書に手を伸ばした。


「”姫野楓の説明書”…?」

「このこの名前かな?」

「今のところはそうとしかいえないでしょうよ…」


堀は説明書を開いて、一通り読み終えたと思ったら、説明書を床に投げ捨てた。


「堀さん!?」

「あ、いや、あまりにも意味の分からないことが書いてあったから、つい…」

「なんて書いてあったんだ?」

「……ザックリ説明するわよ?」

「おう」


一拍おいてから、堀は説明書をもう一度手に取った。
そして淡々と喋り始める。


「そのこが姫野楓なら、そのこはこの世界のこじゃないわ」

「どういう意味?」

「そのまんまの意味よ、別世界の人間だったってこと、ただし、別世界に間違って存在してしまったこちら側の人間」

「堀さん、ちょっと意味が…」

「この説明書にそう書いてあったのよ、この世界の人間として生まれてくるはずが、まったく違う世界に生まれてしまったって」

「だから、この世界に戻ってきたって事?」

「綾崎さん正解」

「アニメみたい…」

「それで、このこはこの世界に戻ってくる事はできるけど、いつまでもこっちに居ることは出来ないの」

「え、なんで?」

「長くあっちにいすぎたから、身体が慣れて、こっちにいるためには、こっちの人間とコミュニケーションをとらなきゃいけないってかいてある、それに、こっちに来る条件も、この世界の誰かに強く会いたいと願わなきゃ無理ともね」

「じゃあ、このこはこの世界の誰かにあいたいって思ったからここにきたってこと?」

「そういうことになるわ」

「でも、別世界の人間なんだろ?どうやって俺たちのこと知ったんだよ」

「この子の世界からしたら、私たちの世界は二次元、漫画らしいわ」

「京ちゃん、事態が飲み込めない」

「私もよ、ていうか、きっと本人もね」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ