そして罪人は嘲笑った
□#02
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「あの学生さん、まだ意識が戻んないの?」
「適切な手当てはしたはずなんですけど…」
「なんせ腹に弾がぶち当たったんだからな。生きてる方が不思議なくらいだ」
「…ま、僕たちにとっては日常茶飯事だけどね」
ぼんやりとした思考の中、聞き慣れない声が聞こえる。
あれ、俺、いままでどうしてたんだっけ。
確か、学校の帰宅途中であのショッピングモールに行って…
…そうだ、俺、人質になったんだ、「大罪者」の。
んで、国防軍が乗り込んできて
「………撃たれた!…っ!!」
ガバッと起き上がると、腹部に鋭い痛みが走る。
でもそのお陰で意識はクリアになった。
「お、起きたか」
「おはようございます、まだ痛そうですね…」
「あんまり無理しない方がいいんじゃない?折角ふさいだ傷口が開いちゃうよ」
俺は知らない部屋にいた。
ショッピングモールでもない、このベッドからして、医務室とか病院か?
んで、俺が寝ているベッドの周りには、どこかで見たような、俺と同い年くらいのやつら。
赤髪ロン毛のやつに、明らかに外国人なやつ、染めたような金髪のやつに、「アルビノか?」と突っ込みたくなるうよな銀髪に赤目のやつ。
カラフルだなぁ、と場違いな事を考えていると、赤毛のやつが声をかけてきた。
「一応、腹の傷はふさいだ。でもまだ傷口が開くかもだから、あんまり動かねぇ方がいいぞ。…他にどこか痛い所は?」
「…い、いや…」
返答を返そうとしたら、掠れた声が出た。すると赤毛は苦笑しながら、ペットボトルの水を差しだしてきた。
「水だ。…お前も災難だったな、こんなことに巻き込まれちまって」
「まあ、その災難は僕らがあそこを占拠したのも原因だけどね」
後ろに立つ銀髪のツッコミが頭の中で反響する。
…「まあ、その災難は僕らがあそこを占拠したのも原因だけどね」。
「僕らがあそこを占拠したのが」…
…「僕ら」?
「…あの、」
幼いころから、嫌な予感は結構当たる方だった。
どうか間違っていてくれ。
けれどそんな思いは、二の句を次いだ銀髪に打ち砕かれたのだった。
「いい忘れてたね。僕らは「大罪者」。怪我を負っている君をわざわざ保護してあげたんだ」
つまり、君は僕らの捕虜だね。
二コリという音がつきそうなくらいの厭味ったらしい笑顔で言われ、思わず、もらったペットボトルを落とした。
…あ、ベッド濡らしちまった。