そして罪人は嘲笑った

□#03
1ページ/9ページ

「なあ、美治…くん?」

「ん、何?っていうか、呼び捨てでいいよ、タメ口も」

「そっか。…えっと、ここに滞在するってことは、俺は一応捕虜…なんだよな?」

「うーん、表向きはそうかもしれないけど、実質的には僕たちの仲間になった…って方が正しいかも」

「はい?」



どうもこんにちは、羽野薫です。
いきなりですが、俺は「大罪者」…つまりこいつらの仲間になっちゃったらしいです。


「…え?何で?」

「いや、だって、基本的にこの国にいる人たちは、全員「大罪者」の人だし」

「え?」

「つい1時間前に言ったじゃん。戦闘に参加する人たちはその一部だって」

「そ、そうだっけか…」

「あれ、もしかして言ってなかった?」


あの大部屋での紹介の後、俺は個人的に美治に呼び出され、美治の自室で紅茶を片手に話していた。

それにしても、コイツ、頭のネジ緩そうだなぁ…。あいつらの中でも一番最年少っぽいし、「大罪者」を纏め上げてんのがこいつだと思うと…なんか…すごく情けない気持ちになる。(いや、国防軍への呆れの方が強いな)


「あのさ、ちょっと失礼なこと言っていいか?」

「?いいけど…?」

「美治ってさ、そんなフワフワした性格で、この国の政治とかちゃんとできてんのか?いくら演技してたって、それはカバーできないんじゃ…」

「ああ、政治とか難しいこととかは、全部ハルとか天真くんがやってくれてるんだ!」

「…え、じゃあ美治は何してんの?」

「式典の日にバルコニーから手を振ったり、書類にハンコ押したり?」

「…そっかぁ!(白目)」

うん、やっぱり日本はもう駄目かもしれない。
こんなのがボスのテロリストにやられてるとか、そろそろ笑うしかなくなってきた。

(ちなみに、その後見せてもらった書類に押すハンコは、可愛らしいウサギさんとヒヨコさんのだった)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ