そして罪人は嘲笑った
□#03
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「なあ、美治…くん?」
「ん、何?っていうか、呼び捨てでいいよ、タメ口も」
「そっか。…えっと、ここに滞在するってことは、俺は一応捕虜…なんだよな?」
「うーん、表向きはそうかもしれないけど、実質的には僕たちの仲間になった…って方が正しいかも」
「はい?」
どうもこんにちは、羽野薫です。
いきなりですが、俺は「大罪者」…つまりこいつらの仲間になっちゃったらしいです。
「…え?何で?」
「いや、だって、基本的にこの国にいる人たちは、全員「大罪者」の人だし」
「え?」
「つい1時間前に言ったじゃん。戦闘に参加する人たちはその一部だって」
「そ、そうだっけか…」
「あれ、もしかして言ってなかった?」
あの大部屋での紹介の後、俺は個人的に美治に呼び出され、美治の自室で紅茶を片手に話していた。
それにしても、コイツ、頭のネジ緩そうだなぁ…。あいつらの中でも一番最年少っぽいし、「大罪者」を纏め上げてんのがこいつだと思うと…なんか…すごく情けない気持ちになる。(いや、国防軍への呆れの方が強いな)
「あのさ、ちょっと失礼なこと言っていいか?」
「?いいけど…?」
「美治ってさ、そんなフワフワした性格で、この国の政治とかちゃんとできてんのか?いくら演技してたって、それはカバーできないんじゃ…」
「ああ、政治とか難しいこととかは、全部ハルとか天真くんがやってくれてるんだ!」
「…え、じゃあ美治は何してんの?」
「式典の日にバルコニーから手を振ったり、書類にハンコ押したり?」
「…そっかぁ!(白目)」
うん、やっぱり日本はもう駄目かもしれない。
こんなのがボスのテロリストにやられてるとか、そろそろ笑うしかなくなってきた。
(ちなみに、その後見せてもらった書類に押すハンコは、可愛らしいウサギさんとヒヨコさんのだった)