そして罪人は嘲笑った
□#02
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凶悪テロリストを前にしてキョドる俺を外人が優しく「まあまあ」と落ち着かせる。
ほわほわした笑顔の外人は、今この状況で混乱している俺には結構な癒しになっていた。(まあこいつも「大罪者」なんだろうけど)
それから数十分、目の前のテロリスト達は、怯える俺を更に怖がらせないように(っていってももう十分怖がってるけど)、俺がここにいる経緯を説明し始めた。
「あのショッピングモールで、日本の国防軍と俺らが戦ったことは覚えてるな?」
「ま、まあ…」
「お前はその時に、国防軍の流れ弾に当たったんだ」
「んで、丁度そこの近くにいた蘭が君を拾って来た、ってワケ」
「えっ」
「でもよかったですね、あのまま放置されてたら、きっと出血多量で死んでましたよ!」
「エドが手当てしてくれたんだよ、よかったね、天真くんじゃなくて」
「あいつのは手当てという名の暴力だろ」
どうやら本当に俺は腹を撃たれたらしい。
んで、名前からして目の前の外人さんがエドって人で、そのエドさん?が俺を手当てしてくれた、と。
そこで俺の中の何かが引っかかった。
どうして、俺にだけこんなにお見舞いみたいのが来てるんだ?
「あの、」
「ん?どーした?」
「俺の他にも怪我した人、沢山いましたよね?広場とかに」
「…ああ、それは…」
しばらくの沈黙の後、銀髪が口を開いた。
「国防軍に皆殺されたよ」
「…は?」
「だから、君が倒れてすぐ、国防軍が広場に突入してきて、怪我人に向かって発砲しまくったんだよ」
僕らもあと少し遅かったら危なかった、付け足す銀髪と、その周りにいる奴らを交互に見る。
その顔は少し曇っていて、あいつの発言が本当のことだと確信づけた。
「君はその時、蘭に運ばれてる途中だったから無事だったんだ。よかったね」
ね、蘭?と銀髪が赤髪の肩にのしかかる。
どうやら赤髪は蘭って名前らしい。
「……ありがと、ございます」
「いや…他の奴らを守れなかったんだ、礼なんて言われたら罰があたっちまう」
悔しそうに顔を歪めて、膝に置いていた拳をグッと握った蘭?さん。
俺はその様子を見ていて、思った。
こいつらは、本当にあの「大罪者」なのか?