memory
□4.それぞれの想い
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ラ:「あー…自分で言うのもなんだけど、本部じゃ結構有名なカップルでさ、オレらを別れさせようって考えてる奴らかなり多いらしくて。…で、オレの彼女のこと好きな奴が…オレが他の女とキスしてたり手繋いで楽しそうに歩いてる合成写真作って…彼女に、渡したんさ(苦笑)」
葵:「…なに、それ…」
なんだそれ
そんなのいくらなんでもひどすぎるじゃないか
お互いの気持ちを無視してそんなこと…
いくら好きだからって
やっていいことと悪いことがあるだろう
無理矢理二人の仲を壊そうとするなんてそんなの
絶対間違ってる
葵:「ち、ちょっと待ってよ、その写真渡された彼女は…?まさかとは思うけど信じたなんてこと…」
ラ:「…………。」
何でだ
なんで、黙り込むの
それじゃまるで
―――――今私が言ったことを、肯定してるようなものじゃないか
葵:「…………っ、なんで!?それって酷いよ、なんで渡されたもの鵜呑みにしちゃうの…!?ラビに確認する前からその写真信じちゃ」
ラ:「やめろ。」
…興奮して話す私に、ラビは静かに言った
葵:「…ぇ」
ラ:「落ち着けって、レイラは悪くない。さっきも言ったろ、いい子なんだって。スゲー、素直な子なんさ。だから…人を疑うってことが出来ない。どうすればいいか、わからなくなってたんさ、きっと。」
葵:「…………でも、」
ラ:「…さっき、葵言ってたよな、オレに確認もしないで、って」
葵:「え…うん」
確かに言った
そう、言ったけど
だからなんだと言うんだ
ラ:「…アイツは確認しようとしてた。」
葵:「…え?」
ラ:「きっと、写真渡されてすぐ、オレを探して回ってたんだと思う。」
で、食堂でアレン達と会話してる、オレを見つけた
…………レイラはスゴく不安だったハズなのに
その時、オレは…
ラ:「…食堂で他のエクソシストと話してるオレを見つけて…オレに確認する前に、不安が確信に変わったんさ、きっと。」
葵:「…………どうゆうこと?」
ラ:「……彼女が俺んとこ来たときさ、」
そうだ
レイラが不安で押し潰されそうになってたその時
俺は―――
ラ:「…………他の、女の子の話をしてたんさ。ただ話すんじゃなくて…」
"俺のストライクゾーンぴったりさ!"
ラ:「褒め、ちぎってた。」
え…?
なんだ、それ
だっておかしい
よく知らない私でさえ、この人が…ラビが、どれだけ彼女さんのこと好きか痛いほど伝わってくるのに
なのになんで
他の女の子のことなんか褒めるんだろう
葵:「何でそんなこと…?なにか理由があったんじゃ、ないの?」
ラ:「あー…オレにさ、いい女の子紹介してくれって、言ってきた奴がいて。んで、だったら任務先で会った子がいい子だったって、話をしてた」
葵:「それじゃやっぱりラビは悪くなんかないじゃん…!」
ラ:「でもそんなのアイツには分からないっしょ?」
葵:「…あ」
ラ:「…葵だったら、どう思う?」
葵:「え…?」
ラ:「どっかから戻ってきたときに、葵の彼氏と知らない女が浮気してるような写真見せられる。でもそんなの信じたくなんかないから…本人に直接確かめに行く。…だけどその彼氏は、楽しそうに、自分じゃない女の子のことを褒めてる。……それ見て、葵だったらどう思う?」
……私、だったら
きっと信じてしまう
…きっと、物凄く
―――傷ついてしまうんじゃないか
ラ:「…少なからず、傷つくだろ、確実に(苦笑)」
葵:「…うん。」
ラ:「…それに俺は、疑われても…仕方ないことしてきてたから。今回の件に関しては、全部…オレが悪いんさ。誤解させる原因作ったのも俺、傷つけたのも俺、アイツを…レイラを、泣かせたのも…俺。」
葵:「…なんでよ。」
ラ:「…ん?」
葵:「なんで…なんでそんな風に自分ばっかり責めるわけ?なんで、何でそんな風に…自分ばっかり傷つこうとするの…?ラビが悪いんじゃないじゃん、ラビだって…彼女さんだって、何も悪いことしてない…!!なのに…どうして、傷つかなくちゃ、いけないの…」
…あぁ、ヤバい
最悪だ
ラ:「…何で葵が泣いてるんさ?(苦笑)」
―――泣きたくなんか、なかったのに
葵:「だっ、て…っ」
―――悔しすぎるじゃないか
何も、悪くなんかないのに
壊れる必要なんて、なかったのに
なのに
なのにどうして
葵:「ラビが…そんな、辛そうな顔しなきゃ、いけないの…っ泣きそうな、顔しなきゃいけないの…っ」
ラ:「………お前、スゲー優しいんさね、そうゆうとこアイツそっくりさ(苦笑)…ありがとう。」