春に咲く、桜。

□春に咲く、桜
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ここは新選組の屯所。
そこで隊長格だけで一つの部屋に集まり、会議が行われていた。



「集まってもらったのは他でもねェ、新選組の今後の事だ。
俺たちゃァ、この前の騒動で大々的に名が広まっただろうぜ」



中心に座っている近藤さんの隣で、腕を組ながら言う土方さん。

土方さんの言ってる“この前”というのは
---------池田屋事件と禁門の変の事だ。

その事を言うと、これからが本題だと言わんばかりに話だす。



「隊士も多くなってきた、もう部屋がねェ状態だ。
そこで壬生から出て行くように言われた」



普通はここで驚くはずなのだが、やはり隊長各。
こうなることは把握済みらしく、驚くことなく聞いていた。

でも、そんななか驚く者が----2人いた。



「はァ!?で、でもよ土方さん!ここを追い出されたら俺達はどうすればいんだよ!?」
「平助の言うとうりだ!まさか、飢え死にしろってことじゃ....!」



シ〜ンとした雰囲気に、新八と平助が馬鹿なことを言い出し、
その会話を聞き呆れる左之助。



「お前等な〜、普通はこんなことが起こるなんて思わなかったのかよ(呆)」
「あ、当たり前だろうが!こんな事をあるなんて思うわけねェだろ!!な、平助!」
「そうだそうだ!!新ぱっつあんの言うとうりだ!!」



自分よりも年下の平助に助けを求め、平助はそれに乗った。
まるで子供のように----------

そんな様子を見ていた左之助と共に土方さんは呆れて何も言えなくなった。

でも、新八と平助のおかげでシ〜ンとなっていた雰囲気は、和んだ。



「で、土方さん。どこか行く宛てはあるんですか?」
「ああ、そいつァもちろんだ」




土方さんが何を言いたい事が、山南さんがわかってようで、止めに入る。



「土方君、それは断ったはずですが...?」
「ああ、断られたよ。だがな、“あそこ”は攻めるのに適してやがるし、俺達の人数が入る部屋を持つのは“あそこ”ぐらいだろう?」
「それは...そうですが」
「じゃァ、文句はねェだろうぜ」



山南さんとのちょっとした言い合いも止め、何処に移住するかを、皆に伝える。




「西本願寺だ」
「「!!?」」
「へェ、確かにあそこだと部屋がありますね」
「ですが、副長。見回りはどうしたらいいんですか?
あそこは山の上で、街に下りるには少々都合が悪いかと」



そこで、やっと近藤さんが話した。



「斎藤君のいうとおり、だがそれは心配いらないらしい...。あそこでは、すぐに下りれる橋が出てるらしいのでな!」



そこで、ピンッと来たらしい平助達は土方さん達に聞く。



「なァ土方さん、街で聞いた事なんだけどよ。西本願寺の主が女だとか」
「あ、それは俺も聞いたことあるぜ。
他にもよ、度の越えた変わり者だってよ!」



平助と新八が街で聞いた情報を出し、その情報に左之助が------



「なんだ?その情報...あまりいい情報じゃァねェなァ...」



と言う。
それもそのはずだろう、今から住もうという家の主がそんなんでは。
仮に住んだとしても、新選組の評判はガタ落ちだ。
それは百も承知の土方は腕を組み平然と言う。


「とりあえず、文を送ってみるさ。話はそっからだ」
「うむ、そうだな。質問のある者はいるか?」
「「「「.......」」」」
「いないな...以上、解散!」



近藤さんの一言に、皆散らばった。

皆が出てもいった後、土方さんが近藤さんに--



「すぐに(西本願寺に)文を送ってみるぜ」
「ああ、すまんな。よろしく頼む、歳」
「ああ」



短い会話をして、すぐに土方さんは自室に戻り文を書くのだった。
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