春に咲く、桜。
□春に咲く、桜
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〜西本願寺にて〜
ここに文が一通届いた。
「?...文?珍しいな、こんな所に...!」
文を拾った松本良順は、誰宛かを確かめるため、文の裏を向けるとそこに書いてあったのは......
来るはずがない者への手紙だった。
それは【西本願寺の主様へ】との事だった。
来るはずがない。
だって、街の者に知り合いはいない。
なんたって、世間には“変わり者”で通っている。
そんな“変わり者”に文を届ける物好きはいない。
だから、良順は驚いたが落ち着いて誰から来た物かを確かめた。
「!!.....これは」
そこに書いてあったのは----“新選組・土方歳三”と書いてあったのだ。
...新選組....皆さんがなぜ....
..とりあえず、渡しに行くか.......
良順は文を持って、主の元へ長い廊下を渡り向かった。
主の寝ている部屋の前へ行き、部屋の外から呼ぶ。
「潤、起きているか?」
『.............』
部屋の外から呼ぶが、返事はない。
「ハァ...入るぞ」
ため息を付き襖を開け、入ると-------------
返事が無かったのも当たり前。
だってとうの本人は。
『スー.....スー』
寝ているのだから。
「おーい、朝だぞ起きろ潤」
『ん...んー...ん?良....順....?』
んーっと唸りながら身体を起こし、座ったまま背伸びをし目を擦りながら、まだ覚醒してない頭や目で良順を見た。
『どうしたんだ...?こんな朝早くから』
「もう昼だぞ...ハァ、文が来ているから持ってきたんだ」
やれやれといった感じで、アタシの前に文を差し出してきた。
その文を、アタシは眠い目で見た。
『誰宛だ?...ああ、アタシか。じゃなくて、誰からの贈りもんだ?こりゃ』
「新選組だよ、表面に書いてあるだろ」
『ん?....ああ、本当だ』
“新選組・土方歳三”
...誰だ?...新選組....聞いた事はあるが...
そう悩んでいると何か察したのか、
良順が「ま、そういう事だ」と言いアタシの部屋を後にした。
『.......起きるか』
良順が出て行った後、数分その場を動くことなく考え込んでいると、
何度考えても“新選組”がなんなのか出てこない。
そのため、もう考えるのを止め支度をし、部屋を出た。
.....文....返すか....
それと------------------
『龍はいるか』
皆と食事を取るため、大広場に来た。
来たとともに忍びである“龍”を呼んだ。
「はい、なんですか?姉さん」
昼ご飯を食べるため、皆集まる大広場。
そこの、手前に黒い着物に身を包髪を後ろに一つ縛りしている龍がいた。
なぜ龍を呼んだか....?
それは。
『新選組を調べて欲しいんだ』
だった。
「それはいいですけど....どうしてですか?」
『家族に、なれるかもしれねェからよ』
「はい?それは...どういう...」
『ま、そのうちわかるだろうぜ。ほら、飯食うぞ』
龍の頭を撫で龍の隣をすぎ、空いてる所に座ろうとすると---
「あ!お姉ちゃんはこっち!僕達の隣!」
「隣ー!!!」
こいつらは双子の“水”と“空”
アタシは座る所がいちいち決まっていない。
ただただ空いてる所に座るか、呼ばれてそこに座るぐらいだ。
そして今、水達に呼ばれた。
だからそこに行き、水と空の間に座る。
皆が集まり飯を食べる。
皆が楽しく食事をしている光景を眺めながら、
アタシは思う。
.....一層賑やかになるな.....
と。