火拳の妹。
□火拳の妹
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『お兄ちゃん....』
アタシの前で行われているのは、お兄ちゃんの《エース》と《ジンベエ》が、
かれこれ五日間も戦っている所。
五日間もぶっとうしで戦い続けているため、息切れも半端ないくらいしてる。
助けたい.....。
そう思うのは当たり前。
でも、ダメ。
お兄ちゃんは、自分の喧嘩に手を出されるのを一番嫌う。
プライドが、高い人だから.....。
でも、見ているほうは心が痛む。
手を出したい。
手を出したい。
思う。
痛いほど思う。
お兄ちゃん。
「エース〜!!」
「し、死んじまうよ〜!!」
そう叫ぶのも当たり前...。
「エース!!」
『!!!?』
そう思い、目を伏せたと同時に兄お兄ちゃんとジンベエが倒れた。
いわゆる、相打ちと言うやつね。
倒れて、すぐにお兄ちゃんの元に駆け寄り方を揺すった。
『お兄ちゃん!お兄ちゃん、大丈夫!?💦』
「う...ッ...ク...」
よかった...!息はある!
起き上がろうとするお兄ちゃんに、肩や手を貸し起き上がらせ、地面に座る形になった。
「ッく...ハァハァハァ...アイツは」
『え、ああ、ジンベエさんね。大丈夫、息はあるよ.....!!』
ジンベエさんを見ながら言うと、背後から異様な気配が近づいてくるのが......
これがなんの、誰の異様な気配かはすぐに予想ができた。
「来やがったな....ハァハァ」
『でも!?お兄ちゃん、怪我が』
「大丈夫だ、俺はアイツの首を取る」
お兄ちゃんもこれが誰の気配かわかってるらしく、アタシの肩を支えに、自力で立ち上がり後ろの異様な気配を放つ海を見た。
アタシもお兄ちゃんと同じ様に、海を見た。
すると--------
「グラララッ、俺の首を取りてェ奴はどこのどいうだァ...!」
「「「白ひげ海賊団!!!?」」」
---そう。
異様なほどの気配を放っていたのは、白ひげ自身。
船の先端に仁王立ちしており、見下ろしながら言う。
「俺だァ!!!!」
さっきまで戦っていて傷だらけなのに、犯行するように見上げて声を上げる。
そんなお兄ちゃんを、あざ笑う白ひげ。
「グララララッ!!威勢ェがいいじゃねェかァ...!!ハナッタレの小僧がァ!!」
「うるせェ!いいから掛かってきやがれ!」
「...いい根性じゃねェかァ!!相手してやらァ!!!」
そう言い放ち、白ひげは船から降りた。
船に乗っていた時も異様なほどの圧力が来たけど、こう真っ向から見たらすざまじい圧力...💦
「おい、ルーク。お前は下がってろ」
『....了解、でも気をつけてね』
「ああ、わかってらァ!!」
口角を上げ、白ひげを睨みながら笑うお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんに、いつもだったら笑い返す所だが、白ひげ相手となると笑ってなどいられない。
助けたい気持ちを懲らしめ、歯を食いしばりながらお兄ちゃんから距離をおき、背後にいたクルー達を見つけ、声を上げた。
『みんな!船に戻って!!巻き添えを喰らうぞ!!!』
「で、でも!!!?」
「エースが!!?」
『いいから!お兄ちゃん達が争う前に、早く船へ!!!』
いやいやながら、歯を噛み締め船へと戻る“スペード海賊団”達。
アタシはお兄ちゃんの事を少しでも近くで見届ける。お兄ちゃんには悪いけど、少しでも危なかったら手を出せる為に...ね。
そんななか、お兄ちゃんがアタシに気づいたようで声を上げる。
「ルーク!お前も早く戻ってろ!!」
『ううん、アタシはここにいる。大丈夫、巻き添えは喰らわないようにするから』
「...わかった、気を付けろよ...!!!」
『うん!』
こうして、エースVS白ひげの戦いが始まった。