短編集
□ホワイトダンス
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わたしは兄が大嫌いだ。
とても綺麗で、とても優しい
それでいてどこか残酷さと嫉妬を秘めている
そんな 兄
わたしは兄が大嫌いだ。
いつもバスケにのめりこんでいて
得られることない才能を求めて
無意味な練習を繰り返す
かつて才能の差を見せつけられた弟弟子に勝ちたい一心で
無意味な行為を繰り返す
自分にはまだ、可能性があるのだと
言い聞かせるように
私はそれを見るたびに、兄が嫌いになる
すがろうとしている
得ようとしている
壁の前で立っているしかできないのに
才能は限られた人間にしか与えられないのに
無意味だってどうして解らないの?
みているこっちが痛々しいよ
無様な姿をさらしながら
立ち上がろうとしている兄が大嫌いだ
ホワイトダンス