ナマモノ小説
□カナシミブルー
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「俺…今のままがええねんけど…。キンキ大事やし…。そういう感情持ってしもたらお互い面倒やし、危険やと思うねん」
ごめんな…と、俺は突然の剛からの告白に動揺しながらも、なるだけ冷静を保ち、剛を傷つけないよう、言葉を選びながら…それでもハッキリと心根を伝えた。
「うん…。そやね。俺の方こそごめんな…。なんか変なコト言うてしもて…」
恥ずかしいのか、俯いた顔が赤い。
胸がキュッと痛くなってしまい、俺は咄嗟に剛の肩をバシバシ叩いた。
「ま、おまえが俺に惚れるんもしゃあないな。俺カッコええしな。罪なオトコやな〜俺」
うん、うん、とキメ顔作って茶化すように言ったなら、剛は「あほ。自惚れんなっ!!こんなん気の迷いから生じた間違いやっ!!」と悪態をついて笑った。
何時もの剛にホッと胸を撫で下ろしたものの…剛の瞳が笑ってなく、せつなく潤み歪んでいるコトに俺は気付いた。
気付いたけど…どうするコトも出来なくて…。
手を伸ばして、剛の頭を優しく撫でてやった。
剛の瞳がさらに潤んだような気がして、これ以上ここにおったらアカンな…。そう思い、ほな、帰るで…と言って、背を向けた。
俺のあとをついて来ない剛に、ため息を一つ。
抱き締めてやれば良かっただろうか…。
アカンあかん。
そんなんしたら…期待させてしまうダケやんか。
俺は、車に乗り込むと煙草に火を付けて、思いっきり吸うと、ゆっくり煙を吐いた。
剛のアホ…。
せり上がってくるやるせない思いに俺は、眉を寄せた。