ナマモノ小説
□寂しがりやの吸血鬼(パラレル)
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雪が舞い散る寒空の下、両手を広げて空を見上げている天使を見た。
天使?
いやいや、人間やろ。
そうは思うのに、人間離れしたような佇まいが当たり前の概念を覆す。
じっと目を凝らして見ていると、視線を感じたのか、天使は俺を見て微笑んだ。
「こう…いち」
あれ?
なんで俺の名前知ってんの?
「こ…いち…ッ…」
あれ…。
ちょっと待って。
なんでそんな切ない表情して…。
伸びてきた腕を引き寄せ、ぎゅっと抱き締めたなら、腕の中の天使は甘えるように縋ってきた。
ああ…可愛い…俺の…。