ナマモノ小説
□奇跡
1ページ/1ページ
彼が紡ぐ
言の葉が好きだ
その
繊細で美しい調べは
儚くも鋭く
心揺さぶる
強さがある
独特な表現は
甘い毒となり
ゆっくり ゆっくり
時間をかけて
心を魅了する
一見難解でしかない
語源の羅列は
まるで
近寄るモノを
拒むように(避けるように)
惑わすように(誘うように)
意味の探り合いを
楽しむように(戯れて)
自由を描く
天性のモノか
目を細めて(彼を)
睨んで
視界の中に(彼を)
閉じ込めて
僕は瞳を綴じる
ああ…僕は
彼の見るモノ
彼が感じるモノ
その全てを
感じてみたいのだ
そう 思った
刹那
涙が溢れた
それは嫉妬だろうか
いいや
感動しているのだ
彼という
稀有な存在に
出会えたことに
ありがとう
ゆっくり瞳を開けば
そこには
笑顔の彼が 在った
END