ナマモノ小説

□奇跡
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 彼が紡ぐ
 言の葉が好きだ

 その
 繊細で美しい調べは

 儚くも鋭く
 心揺さぶる
 強さがある

 独特な表現は
 甘い毒となり

 ゆっくり ゆっくり

 時間をかけて
 心を魅了する


 一見難解でしかない
 語源の羅列は
  まるで

 近寄るモノを

 拒むように(避けるように)
 惑わすように(誘うように)

 意味の探り合いを

 楽しむように(戯れて)

 自由を描く



 天性のモノか


 目を細めて(彼を)
 睨んで


 視界の中に(彼を)
 閉じ込めて


 僕は瞳を綴じる



 ああ…僕は

 彼の見るモノ
 彼が感じるモノ

 その全てを

 感じてみたいのだ


 そう 思った
 刹那
 涙が溢れた


 それは嫉妬だろうか


 いいや


 感動しているのだ


 彼という

 稀有な存在に
 出会えたことに


 ありがとう


 ゆっくり瞳を開けば

 そこには


 笑顔の彼が 在った





   END
 

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