ナマモノ小説
□ラムネ瓶の中のビー玉
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子供の頃、ラムネの瓶の中のビー玉を取り出したくて仕方なかった。
飲み口にくっついているビー玉。
瓶の中に押し込まないとラムネは飲めない。
本当は、ラムネよりも瓶の中のビー玉が欲しかった。
何で入ったもんが取られへんねん…。
無駄だとわかっているのに、瓶を滅茶苦茶振ってみた記憶がある。
友達は、瓶を割って取り出していたが、瓶を割って取り出すのは、子ども心にも邪道な気がして嫌だった。勿論、そのようなことはやっていない。
大人になった今では、ラムネ瓶の口よりビー玉が大きいのだとわかってしまったから、そんな無意味なことはしようとも思わないが。
…だが、ラムネ瓶を泳ぐ綺麗なガラス玉を見ていると…無意味だと思う行為をとりたくなってしまう自分がいて、光一は焦るのだ。
しゃあないやん。
綺麗やし…一見脆そうなガラス玉やけど…意外と丈夫やし…アイツみたいなんや。
光一は、目を細めて眩しそうに、隣にいる相方を見た。
END