ナマモノ小説

□ラムネ瓶の中のビー玉
1ページ/1ページ


 子供の頃、ラムネの瓶の中のビー玉を取り出したくて仕方なかった。

 飲み口にくっついているビー玉。
 瓶の中に押し込まないとラムネは飲めない。

 本当は、ラムネよりも瓶の中のビー玉が欲しかった。

 何で入ったもんが取られへんねん…。

 無駄だとわかっているのに、瓶を滅茶苦茶振ってみた記憶がある。
 友達は、瓶を割って取り出していたが、瓶を割って取り出すのは、子ども心にも邪道な気がして嫌だった。勿論、そのようなことはやっていない。

 大人になった今では、ラムネ瓶の口よりビー玉が大きいのだとわかってしまったから、そんな無意味なことはしようとも思わないが。

 …だが、ラムネ瓶を泳ぐ綺麗なガラス玉を見ていると…無意味だと思う行為をとりたくなってしまう自分がいて、光一は焦るのだ。

 しゃあないやん。

 綺麗やし…一見脆そうなガラス玉やけど…意外と丈夫やし…アイツみたいなんや。


 光一は、目を細めて眩しそうに、隣にいる相方を見た。





   END
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ