ナマモノ小説 企画もの『cocktail』

□ブルームーン
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 「まるでブルームーン」

 そう言ったら
 彼は口元を緩めた


 Blue moon

 静寂な蒼い月

 ブルートパーズの輝きは

 限りなく神秘的で
 どこか近寄りがたく
 それでいて
 危うく儚げ


 ゆらゆら

  ゆらゆら


 躊躇うように

 ゆらゆら

  ゆらゆら

  惑わせる






 常に試されているような気がする。

 伸ばした指で、露わになった鎖骨を撫でると、すかさずパシりと弾かれた。

 「痛いやんか〜」
 「いきなり触るからや」
 「いきなりやなかったらええんか?」
 「………なにを言うてるねん」

 呆れた顔で俺を見る。



 何かと思わせぶりな癖に、そんなつもりはないのだと素気ない態度。
 かといって知らぬ顔をしていると、ちょっと拗ねたり。甘えてきたり。

 気のない振りして、チラチラちらちら。


 ほんまに…。

 めんどくさいけど、ほっとかれへん。



 この感情に名を付けるとしたら、いったい何になるのだろう…時々考えてみたりする。




 「焼けるで」
 「…ええねん、別に」
 「アカンやろ。焼けたら」
 「なんで?」

 なんでて…。

 「赤なって痛いやん」
 「ならん。大丈夫や」
 「いやいやいや。なんで言い切れるねん」


 と言いつつ、痛いというのは建て前であって、本音はこちらだったりする。


 唯でさえ色気ある男なのに、これ以上色気をふりまいてどうするのだ、どうしたいのだ

 と、本当は言いたい。




 「目の毒や」

 さり気なくジャケットを肩に掛けたら、キョトンとした顔で俺を見て、意味深に笑った。



 なあ。やっぱり、わかってやってんちゃうん?


 思わせぶりな
 俺のブルームーン





   END


 ※ブルームーンと聞くと、青い月を連想してしまいますが、cocktailのブルームーンは、薄紫のセクシーな色をしています。ジンとレモンを使ったcocktailで味は爽やか。因みにcocktail言葉でのブルームーンは、「出来ない相談」と、拒否的なんですが、元々の意味は「稀な出来事」「奇跡」という意味合いがあり、2人の出逢いもろもろに掛けました(笑)



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