All in good time.
□第一章
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【-side- 恭弥】
ずっと、同じ景色ばかりを見ている。
ただ、一面の……白。
白。
白。
……白。
そして、今の僕に聞こえる音など無い。
心臓の鼓動だけは分かるけど………これは音じゃないな。
自分の意思で動けない体を規則的に震わすだけの、ただの振動。
何の変化もない無機質に囲まれて、どれ程になるんだろう。
「寒い」も「暑い」も感じないから季節さえも分からない。
動けないから本も読めないし、
話せないから会話だって出来ない。
目は、白だけを映すスクリーンで……時折湿気を欲して瞬くだけ。
(…つまんないよ。)
つまんない。
つまんない。
つまんない。
どうして、思考だけはこんなにはっきりしているんだろう。
こんなに色々考えてるのに、身体は一向に動かせない。
どうせなら思考なんて出来なくて良かったのに。
…みんなと、話したいな。
………、…あれ?
" み ん な " っ て 、 誰 だ っ け 。
……………確か僕は、その"みんな"と仲が良くて……
よく、笑ってた。
何だか‥……えっと、何だっけ。
そう、
『幸せ』。
とても、…とても、幸せだったんだ。
幸せ、『だった』。
(じゃあ、今は幸せじゃない?)
…うん。
きっと幸せではない。
何も、分からないんだもん。
お腹も空かないし、喉も渇かない。
呼吸だって……自分でしてるのかな、コレ。
眠くなってきたら寝て、
それで、次に目が覚めたら、
また白が見えるだけ。
こんなの幸せじゃないよ。
つまんない。
つまんない。
眠い。
つまんない。
つまんない。
眠い。
眠い。
…眠、……い。
このまま寝たら、この退屈から解放されるのかな。
次起きるときには、この真っ白な景色はなくなってるのかな。
………
僕は、笑えるようになってるのかな。
寂しいよ。
ねぇ、
神さま。
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