薄桜鬼 短編
□ほら見て
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「ほら、見てよ千鶴ちゃん」
その声を頼りに箒を持っていた手を止め、後ろを向くとそこには沖田さんが居た
なにやら後ろに何かを隠しているようだ。
私は首をかしげた
沖田さんと目が合い彼はニコリと笑うと私の目の前に可愛らしいものが出てきた
「見てよ、子供達と遊んでた時に貰ったんだ」
それは白詰草の花輪だった
少し不器用に作られているがとても可愛らしい。
「綺麗ですね!」
そう言うと沖田さんも微笑んだ
「千鶴ちゃんに上げるよ」
彼は花輪を私の頭の上に載せた
私はそれを確認するようにそっと触れた
花輪を一生懸命作る子供の姿を思うとなんだか微笑ましい
「でも、これは沖田さんが貰ったものですから」
花輪を返そうとするがそれを彼が阻止した
「僕が持っててもどうせ枯れるだけだし、君が持ってなよ」
そう言うと彼はふらりと背を向け手を振って何処かへ行ってしまった
頭に乗った花輪をそっと手に収めた。
どこかに行かれたと思ったら子供と遊んでいたなんて、巡察はちゃんと行ったのだろうか。
なんだか不安になっしまう
でもなんだか嬉しくなってさっき見送った彼の姿を思い浮かべた。