マガジン系夢への水鏡

□氷の舞手 02
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真知子はヘヴンを担いで着いた所は真知子の家だった。
門の所に、絃結界で侵入者を阻止するように。
ヘヴンは真知子に当身を食らって、意識が無い状態で。
真知子はヘヴンを茶室に連れて行った。
「ん……?」
ヘヴンは降ろされた衝撃で、意識を取り戻す。
そして真知子が扇子を持って、ヘヴンの前に立っていて。
その様子で何があったのか、瞬時に思い出していた。
「ま、真知子ちゃん!?どう、どうして私を!?」
「……ごめんなさいね、そういう依頼だったのよ。
『仲介屋ヘヴン』を殺せってね……悪いけど…死んで!!!」
真知子はヘヴンの言葉に、そう答えて扇子を構えていた。
「きゃああああああ!!!!!!!」
ヘヴンは恐怖で目を閉じ、叫び声を上げていた。
ザシュ!!
肉が切れる音がした。

「…………?」
ヘヴンは音がした割に、衝撃が一向に感じない事に、恐る恐る目を見開く。
そこには、真知子がヘヴンに見せていた。
『一切、何があっても声を出すな、動くな』
そう書かれている紙。
そして、不意に生温さと寒気を感じた。
よく見ると、自分は服どころか、何もかもを身から剥がされていて。
更に、真知子の扇子は、真知子の腕に深々と刺さっていて。
だくだくと、血がヘヴンの胸元に流れている。
驚きで口を開こうとしたが、その口を真知子が塞ぐ。
目線だけを真知子の顔に向けると、いつもの可愛らしい表情で。
真知子は口元にもう片手で、指先を当てて、一度だけ頷き。
それにつられて、ヘヴンも同様に頷いた事で。
真知子は更に優しい笑みを見せて、ヘヴンの体から離れていた。
ヘヴンの切り裂かれた服や、持ち物全てを持って。
代わりと言っては何だが、一枚の内掛けをヘヴンに掛けて。
「……私の家の焼却炉は火葬用では無いのだがなぁ……」
そう一言呟いて、真知子は外へ出て行った。
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