story*

□あのさ、別れよ?
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「あのさ、俺たち別れよう?」





そんな言葉を言われるなんて、思いもしなかった。





――――3週間前


「・・・んっ。はぁっ―」

真っ暗な部屋に響く甘い吐息と弾く水の音。
互いの目が合う度にどんどんと激しさを増すばかり。

「・・・んすっ、ココっ?」
「うんっ・・・あっん!!!」

絶頂を迎えるヒョンスンのその顔は普段よりも格段に色っぽい、だから愛しさも膨らむ、もっともっと好きになる。手放したくなくなるんだ。










「なぁ、ジュニョン」
「ん?」
「俺らの関係っていつまで続くんだろうな。」

その声色はムードを崩さない、低い音、だけど寂しさを帯びていて。

「この先ずっとだな。少なくとも、お前が俺から離れたいと思わない限りは。あ、グループが解散したとしても、な。」
「ふっ、そっかぁ〜」

ヒョンスンが俯き涙を静かに垂らした。俺はゆっくりと、けどしっかりと、腕の中に包み込んだ。

「好きだよ、ヨンシカ・・・kk」
「俺も・・・。」

心配しなくてもいいんだ。俺に夢中になっていればいい、他の奴等なんか目に入らないぐらいに。
俺がヒョンスンを嫌いになることはないから。



――――――その一週間後


気に食わない。

ほんと、嫌だ。

さっきから、ドゥジュンとばっかり喋ってる。耳打ちなんかしちゃったりしてさ・・・むかつく。

あ・・・!!腰に手を回した。ヒョンスン、拒んでもいいんだぞ?なんで嫌がらない?おいおい、なにやってるんだよ!!やめろやめろ!!!

「ヒョ、ヒョン??怖いですよ、顔。」
「ぇ!!あ、なんだドンウナお前か。」
「お前かって〜ひどいなぁ。何をそんな凝視してるんです?」
「別に、なんにもないよ・・・」

ドンウンは相変わらず動かない俺の視線の先をたどり、『あぁ』と納得したように首を縦に振った。かと思うと、2人の元へ一目散に駆けていった。ドンウンが2人に何か言うと、ドゥジュンがこちらを見て腰に回してあった手をはずした。何を言ったのかは知らないが、ドンウンの計らいに感謝しながら、さりげなくヒョンスンの方へと歩み寄る。



「ヒョンs」


「あのさ、俺たち別れよう?」


「え?」


「重いんだよね。」


ヒョンスンはそう言い放つと、撮影用の小道具で遊んでいるギグァンとヨソプのところへ行ってしまった。


なんだこの状況。

え?重いって?は?わからん。


「ジュニョンさん、振られちゃったの〜?だっさ〜!!」

どこからか沸いてきたドゥジュンが、クスクスと意地悪に言う。

「重いって、俺、重いって」
「そうだな、最近太ってきてるもん、お前」
「俺、束縛してないよね?」
「それは、知らねぇ」
「夜、苛めすぎたかな」
「あのさ、ジュニョンさん。発言考えt」
「泣けてきた、どうしよ、うわ、振られた、やばい、死ねる」
「ちょ。待て待て!!何で泣く!死なないし!」

抑えられない、今すぐにでも叫びそうだ、ごめんよ、ヒョンスナ!俺が悪かった、だから!!お願いだから、俺から離れないでくれよ!!!って。




―――一方その頃




「言ってきちゃった。」
「ヒョンスン、お前が怖いよ。ジュニョンが絶対に別れたくないの知ってて、そんなこと言うんだから。」
「そんなことが言えるのも、絶対的な自信があるからなんだろうけど。」
「まぁね〜」

実は言うと、ジュニョンと別れるつもりはない。・・・じゃあ、なんであんなこと言ったのかって?
それは、最近あいつの狂愛っぷりが怖いから!!一回、頭冷やしてもらうと思ってさ。普通にメンバーと話してるだけなのに、すごく見て来るんだよ?ただ耳打ちしても、「何言ってたんだ」とか「俺には言ってくれないんだ」ってさ、毎回毎回!!!正直ウザイよ。確かに、俺だってジュニョンが誰かとスキンシップとってたら嫉妬の一つや二つあるけどさ、態度に出さないし、言ったりもしないのに!!

俺が我慢してるときに、ジュニョンが我慢しないからむかついちゃったんだよ。

だから、ドゥジュン、ドンウンと計画してジュニョンに自分の重さを分かってもらおう大作戦を決行したわけだけど・・・。



あぁ、ジュニョン、あいつ思ったより落ち込んでるな。


「てか、好きだってこの間言ってあげたのに、もう忘れてるし。」


椅子に座ってうずくまってるジュニョンは、誰から見ても芸能人とはわからないほどにオーラがなくなっていた。やりすぎたかな?そろそろ謝りに行かなくちゃね。









―――――













「ジュニョン?」
「ごめん、もう一度、考え直してくれないか?」

名前を呼んだだけなのに、すぐそう言うトコロ。

「違うよ」
「俺、がんばるから、もっといい男になるから」

辛いことがあると、人の声が届かなくなるトコロ。

そんなファンが想像もしないような、可愛いトコロ。

全部、やっぱり、何があっても

「好きだよ。」




「え?」





「」















ほっぺたに軽く、これで許してね。
だから、この瞬間から、また俺だけの王子様でいてね?

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