ココロ
□11. 発言はちゃんと考えてからしましょう
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「ねぇ、さっきあの妖精みたいなのと何を話してたの?門の前にでもなんか話してたよね」
「えっ、それは…」
この妖精は念能力ではない。こいつの事を話すには説明がややこしくなるからあまり見られたくないのに。
どう言い訳しようか頭をフル回転させていると、着信音が私の思考回路に横槍を入れた。
誰だよ!と思いながらも、話を反らせるかもしれないという一縷の望みから少しだけ助かったいう気持ちでディスプレイを見てみると、表示されている文字はヒソカだった。
「うわ…ヒソカだ…」と思わず声がでた。
「あの電話かかってきてるんで出ますね」
「ヒカルってヒソカと知り合いなの?」
私の独り言は彼の耳に入っていたようだ。
一応が私のことに関して興味を持ったことに少し驚いたが、良く考えなくても彼の興味は私にではなくヒソカの交友関係についてだろう。
確かに私みたいなひよっこの携帯にヒソカからの着信があれば気になるのも当たり前かもしれない。
「ああいう人とあまり知り合いたくはなかったんですけどね」
そうとしか返すことが出来ずに曖昧な笑みを浮かべて電話にでる。
「もしもし?」
『やっと出てくれた♦』
私はワンコールで出ることが出来るほど暇人ではない。
「何の用?」
『ヒカルの部屋に行ってもいなかったからね♠』
「は?また勝手に部屋に入ったの?やめてくれない?」
その言葉にピクリとイルミが反応する。
やめて変な誤解される。
私の住む場所を知っていて、遊びに来る仲だと思われる。意味合い的には間違ってないのが悔しいけど!
『そんなコトより今ドコにいるんだい?』
「ヒソカには関係ないでしょ!」
『こんな時間に外にいるなんてキミ可愛いんだから狼に襲われちゃうよ?』
「は?それ本気で言ってんの?今は町なかで狼が出るような世の中じゃないから。あと可愛くないし!私の顔は中の下くらいだわ!」
ここが何処かも忘れて携帯に向かって怒鳴ると、携帯は私の手から離れ、いつの間にかイルミの手の中に収まっていた。
「えっ?イルミさん?」
騒ぎすぎたかな…携帯折られるかな…と少しビクビクしていると、私の携帯は折られること無く彼の耳に添えられた。
「もしもしヒソカ?」
『イルミかい♦なんでヒカルと一緒にいるのかな?』
携帯を取り上げられてしまった私にはヒソカの声のトーンが低くなったことなんて知る由もない。
「ヒソカこそ、なんでヒカルの部屋に勝手に入ってるの?」
しかしイルミからは黒いオーラが出ているのは分かる。やっぱり騒ぎすぎたからヒソカが叱られてるんだ…
ということはヒソカの次は私なのではないか?
いや、でも聞いた感じ私の部屋にいることに対して怒っていると捉えてもいいだろう。
なんで私の部屋の事で怒ってるかは分からないからやっぱり前者の方だと思うけど。
『イルミには関係ないじゃないか♦』
「それならヒカルの事と関係ないよね。あっ、心配しないで。彼女はうちで泊まるから」
『じゃあそっちに…「来なくていいから」
ぶちっ
なぜ怒っているかわからない私ははオロオロするしかない。
次は私か?殺られる?
その雰囲気をイルミは感じ取ったのかこちらを振り返った。
「怖がらせたかな。ごめんね。ヒカルは気にしなくて大丈夫だよ。でも、ヒソカとあまり関わっちゃダメだからね」
「えっ…いや。すみませ...「あと。ヒソカとはタメ口なのにオレは敬語なの?」
私の言葉と被さるようにそう問いかける。騒がしくしたことを謝る暇すらくれない。やばい、これはやばい。敬語の意味なんてそんなの1つしかない。
「タメ口だったら失礼じゃないですか!」
失礼なことしたら殺されるもの!怖いもの!それに彼は今怒ってる!下手に刺激したらこの世とばいばいすることになる!
「じゃあタメ口でいいし、イルミってよんでよ」
「いいんですか?」
「敬語になってるよ。次敬語で話したら殺すから」
ああ、そっちが正解だったのか。
敬語はやめるので殺さないでいただきたい。
「ごめんなさい!あれ?ごめんなさいは敬語?あれ、いや、でも今のは違う!殺さないで!」
もうなにが敬語でなにが敬語じゃないのかわからなくなってくる。ごめんなさいじゃなくてごめんが正解?
「はいはい、じゃあ行こうか」
「え?」
「夕食食べにいくんだよ。ついてきて」
「う、うん!」
知らないうちにイルミの怒り…というか黒いオーラはなくなっていて、彼のことが更によく分からなくなった。
さっきの話を忘れてくれたようで、少しだけほっとしたのは言うまでもない。