ココロ

□13. お引越し
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「ヒカルちゃんもう帰っちゃうのね」

「はい、いろいろとありがとうございました!」


ぺこりと頭を下げ、感謝の気持ちを伝える。
すごい疲れたけど楽しくはあった。
こんなに賑やかな時間を過ごせたのは久しぶりだったから来てよかったとは思う。


「ヒカル抜けてるところあるけど、腕は確かだし何かあったら依頼するよ」


抜けているは余計だよ…私なりに頑張っているのに!しかし私は大人だからそこはスルーすることにした。


「知り合いからの依頼は優先してやるからね!」


にこりと笑うと、なんだか場の雰囲気を柔らかくなったような気がする。やっぱり笑顔は魔法だ。


「ヒカルちゃん仕事頑張るのよ。気を付けてね!」

「はい、ありがとうございます!では、また」


もう一度頭を下げると、魔法陣で最初の依頼主の元へ向かった。



ーーーーーー



仕事を全て終わらせた私はジンから送られてきた地図を見ながら家に向かっていた。


どんなお家なんだろ、無駄に目立つ家とかだったら……うわ、なんか嫌に緊張する。


緩やかな山道をてくてくと歩いていくと、なにやら建物が見えてきた。


あれかな?普通のお家って感じだな。よかった…


ほっと胸をなでおろし、かちゃりと鍵を開ける。鍵は生命を宿す手で妖精を召喚し、取ってきてもらったものだ。



入って行った先にはオシャレな家具が置いてあるリビングが。

家具がある!ここまでしてもらうとなんか申し訳ないな…
わぁ!お風呂おっきい!これはジンのセンスなのかな?なんか私よりセンスが良いような気がする…


ジンにお礼の手紙を書いて生命を宿す手で妖精を召喚して手紙を届けてもらうことにした。
手紙にしたのは、メールよりも気持ちが伝わると思った。ただそれだけだ。
今は時間が遅いから今度直接お礼を言いに行くということもしっかりと認めておいた。


リビング、キッチン、バスルーム、寝室、書斎。客室など、全ての部屋に家具が完備されていたので、家具を揃える必要はない、そして家電まで用意してあったので、それらの心配もする必要がないようだ。
揃える必要があるのは歯ブラシとか、シャンプーなどの生活用品だけか。
とりあえず闘技場から服とか絵画とか持って来ないと。
天空闘技場ともお別れか…なんだかんだ言っても楽しかったかも。
ここに来てからの出来事を少し振り返り、しんみりする。


1日で200階まで行ったのは異例だったみたいだから漆黒に染まる子猫とか変な名前つけられてたけどね。
嫌いじゃないけど、厨二臭い名前つけられると恥ずかしいからやめて欲しかった。

でも、寂しさよりも、嬉しさのほうが大きい。それは、こっちに来たらヒソカに邪魔されることのない生活を送ることが出来るという点だったりする。

急いで闘技場に戻り、数少ない私物を持って色々な手続きを終わらせると、誰にもバレないよう静かに闘技場から立ち去った。
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