ココロ
□20. 存在感がない人を探せと言われても困る
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1分前にゴン達がついて3次試験は25人通過した。
扉のひとつが開いてそこから外に出る。
今こそ復讐のとき…。
「ヒカルさん落ち着きましょうよ」
「落ち着く?あの試験の所為で私のファーストキス奪われたのに?思い出したくもないことを無理やり引っ張り出されて…」
「それは許せませんが、それだと他の受験生が怯えますよ?」
ギルはそう宥めたがリッポーが見えた瞬間嫌でも殺気が膨れ上がった。
イライラしていた所為かリッポーの話はいつの間にか終わっていてヒソカがクジをひいていた。
ハンター試験だから一緒記憶に残るような嫌なことがあるのは仕方がないとは思う。
しかし先程の試験の内容は生きてしたまで降りてくる。のはずだ。
それなら記憶を引っ張り出すとか要らない訳だ。
もしもそこに落ちた時点で初めましてだったら初対面の人間の記憶をもう片方が見せられることになり、そしてキスまでしなくてはいけないことになる。
同じ性別の人間が落ちていたりしたらもっと地獄だっただろう。
つまりこれは試験目的ではなくてモニターで監視しているリッポーの暇つぶしとして扱われたようなものだ。
自分の番が来たらしくヒソカにいっておいでと言われた。
「ギル。引きに行くよ」
そう言ってリッポーの方に近づいていく。
その姿はRPGに出てくるラスボスのようだ。
クジを引くとリッポーの耳元で囁く。
「あなたの所為で私の大切なものが奪われたんですけど…どうしてくれるのかな?あれが試験としてどういう意味があったか教えて欲しいんだけど」
「それは」
リッポーは私から視線を逸らした。
心の試練とでも言ったら今回の試験を棒に振る覚悟でぶっ飛ばしてやる。
「へぇ、やっぱり考えてないの」
過去を見られるということは自分の生き方を見られるということ。
人間誰しもしまっておきたい過去や誰にも言えない秘密だってあるからどうしても許せなかった。
リッポーは私に何も返答してこない。
試験の意味を問うたために「試験だから」が使えないからだろう。
何言っても無駄でなんかムカつくからバレないように両手に魔法陣を召喚してやった。
原作では指を折るシーンがあったから指を切り落とされるような深い痛みがくるはずだ。
それで私の怒りが収まるとは思わないけれど何もしないよりはマシのような気がした。
説明が終わって船に乗ると2時間くらいは自由にしてていいと言われてすることもなくギルと話していると、「ヒカル姉!」とキルアとゴンがこっちに走ってくるのが見え、手招きをした。
「ヒカル落ちる時に頭打ってたけど大丈夫だったの?」
「あれ?何で知って...「いい音してたぞ」
あれはすごく痛かったし、自分でもゴンって音は聞こえていた。
まぁ聞こえて当然なのかも知れない。
「あー、うん、あれは大丈夫じゃなかった。あれだよ、油断すれば飛んでいけるくらい痛かった」
「…そっか。今は大丈夫なの?」
頭を触った感じたんこぶになってしまっているが、それ以外は何も無い。強いていえば…
「今は大丈夫だよ。心の傷は全く大丈夫じゃないけどね!」
「ゴン、ヒカル姉重症だぞ」
「ヒソカのところにいたからかも」
コソコソと2人が話しているが、全て私の耳に入っている。
2人は頭を打ったことによって心が傷ついたと思っているのだろう。
さすがにそこまでグラスハートではない。
「いやいやおかしくはなってないよ?大丈夫だよ。全然大丈夫!」
キルアは少し納得がいかないという顔をしていたが、ゴンは「そっか!それならよかった!」と言って笑ってくれた。
「ところでヒカルは誰がターゲットなの?」
そんなゴンの言葉により番号のことを思い出す。
「あー、誰だろ?そういえば番号みてないや」
ポケットをごそごそと探って見てみると34番だった。
「34番。私の一個前?誰かわかる?」
「「わかんない」」
「やっぱり?」
この人漫画で喋ってなくね?んなのわかんねぇよ!
顔も名前もがわからないから念も使えないし!
「ヒカル姉は強いからなんとかなるじゃん!」
落ち込む私にキルアは慌ててフォローを入れ、「オレのターゲットもわかんねぇし」とつけたす。
「あれ?キルア何番?」
「199番だよ。誰なんだろ…」
「あっ!その人知ってるよ!」
知っていると言っただけで、顔をキラキラと輝かせる。
言ったら怒ると思うから言わないけれど、すごく可愛かった。
「マジ!どんな奴?」
「えーと、いつも3人で行動していた人達の1人とだけ言っとくー」
「それほぼ答えじゃね?まぁ、ありがとヒカル姉!」
くしゃりとした笑顔を私に向ける。可愛い。
「いえいえ、気にしないで!」
こんなに喜んでくれるなんて嬉しい。教えて良かった。
こちらもつられて笑顔になる。
「ゴンは何番なの?」
「44番だよ」
「コイツクジ運ないよな」と言って笑う。
すると、ゴンは真っ直ぐ前を見て口を開いた。
「でもオレ、嬉しいんだ。だから頑張るよ」
「そんな頑張り屋のゴンくんにこれあげるよ」
手のひらに具現化した絆創膏をのせる。
「絆創膏?」
「そうだよ!私が魔法をかけたからとっても傷がはやく治るんだから!」
ぐっ!と親指をたててゴンに言う。
「ゴン傷の治り早いからいらないんじゃね?」
そう言われて確かにそうだと思ったが、それでも30秒で治るのだからないよりは良いだろう。
「ううん、そんなことないよ。ありがとうヒカル!」
とびきりの笑顔でそうお礼を言うゴンがとても可愛くて頭を撫でると、されるがままに撫でられている。
「キルアもゴンも怪我しないでね?君たち可愛いから心配だよ」
可愛すぎて何かが抑えきれなくなり、むぎゅっと2人を抱きしめる。
「なっ!可愛いって、ヒカル姉、オレは男だぞ!」
予想通りの反応をするキルアが可愛くて更にぎゅうっと抱きしめる。
「ふふっ、でも無理しちゃダメだからね?」
「あ!ついたみたいだよ!」
そう言われて仕方がなく2人を離すとゴンもキルアも顔を赤くしていたが、キルアは顔をふしゅーと音が出そうなくらい真っ赤にしていた。
「それでは、第3次試験の通過時間の早い人から順に下船していただきます!一人が上陸してから2分後に次の人がスタートする方式をとります!!」
「さて、そろそろ舟を降りなきゃ行けないし、ヒソカ達のとこ行ってくる!」
「えっ、ヒカルね「じゃあ頑張ろうね!バイバイ!ねえ、ヒソカ!」
ヒソカを呼びながら、ヒソカと針人間のところに走っていくヒカルをみてなんとなく心配になった。