非日常のとビら
□5日目 読み上げ係
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おうちに帰ってきた。
まずは手を洗って、うがいをしてリビングに向かう。
お部屋で部屋着に着替えるとリビングに行きパソコンを立ち上げた。
今日はリビングにあるパソコンでホラーゲームをしながらお菓子でも食べてゆっくりするつもりだったのだ。
コップにジュースを注ぎ、冷凍庫からアイスを取り出すとアイスの冷たい感覚を楽しみながらパソコンの前に座った。
前にやりたいと思ってダウンロードしておいたホラーゲームを起動するとアイスを咥えながら操作を行う。
ゲームパッドでプレイするのもいいが、こういうゲームはキーボードの方が細かい操作がしやすかったりする。
ただ私が下手くそだということもあるのだが。
追跡者から逃げるためにキーボードの上を指が滑っていく。
追跡者から逃げ切りほっと息をついたその時、別の箇所から追跡者が現れた。
「くそっ、完全に油断していた!」
shiftを押し切り返しを図る。
shiftを押すとキャラクターは「歩く」の状態から「走る」の状態になり、移動速度が早くなるのだ。
敵との距離は2マス。
ここは初見のマップだ。下手に部屋の中に入って撒ける場所はあるだろうか。
しかしそんなことを言っている暇はない。
近くの扉に入ろうとキャラを進めて行くと、走るの速度についていけずに扉の前で引っかかった。
「あっ!」
〜GAMEOVER〜
「ちくしょー!」
このゲームは捕まったら怖い1枚絵が出てくるタイプで少しびっくりする。
初ゲームオーバーがこんな凡ミスだなんて…
悔しさが出てきてぐっとアイスの棒を握りしめる。
棒をゴミ箱に捨てようと後ろを振り返るとクロロがいた。
「ぎゃあ!」
びっくりして椅子から転げ落ちるのを受け止めてもらう。
目の前にはクロロが映っているから…
「ココナ驚きすぎね」
「フェイタン…ありがとう。だっていると思わなかったから…」
「声はかけたよ♦でもココナPCに夢中なんだもん♥」
そんなヒソカの声が聞こえてそちらの方を見るとヒソカ、それにイルミもいた。
「なんで今日はこんなにいるの」
「それがたまたまのようだ。最初に来たのはオレ達で、その次がヒソカ、最後がイルミだ」
そう説明されてみんなは随分前に来ていたことがわかる。
ゲームのプレイ時間は30分。
随分私は集中していたようだ。
「最後のあの殺られ方はないだろう」
「あれは酷かたね」
2人はそう言いながら私を見てにやにやと笑ってくる。
「う、うるさいなあ!そんなにすぐ出てくると思ってなかったから油断してたの!」
確かに自分でも酷い死に方だとは思ったがそう言われるのがなんとなく腹立たしくて言い訳をする。
「あれはそういう問題じゃないだろう。普通あんなところで引っかかるか?」
クロロの馬鹿にしたような笑みは鼻につく。こいつ…
「そうやって笑うな!張り倒すぞ!」
「いいないいな、オレもココナがゲームプレイしてるとこみたい」
そこにイルミまで参加してきて私を馬鹿にしようとしてくる。
「ちょっと待って!ここに群がられても圧を感じるだけだから待って!」
ただホラーゲームをやりたかっただけなのになんでこんなことになるんだ。
私はゆっくりするつもりだったのだ。
私はこの男共に囲まれて落ち着いてゲームをできるようなメンタルを持ち合わせていない。
「今テレビとPC繋ぐからここじゃなくてそっちの画面で見てよ。そんな手元見られたら落ち着かないでしょ」
確か私の部屋に接続ケーブルがあったはずだ。
くそ、なんでこんな奴らのために労力を使わなきゃいけないんだ。
「冷凍庫にアイスが入ってるからそれでも食べて待っててよ好きなの取っていいから」
そう言ってリビングを後にすると、自分の部屋に向かう。
なんとなくあいつらがアイスを選んでいるところを想像するとなんだか可愛く感じて、笑みがこぼれた。