非日常のとビら

□17日目 戦闘E
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次に目が覚めた時にはもう四次試験は終わっていて、私は前に休んでいた飛行船のベンチに寝かされていた。

前にここで何かがあったような気がするけれどキルアくんのことは思い出せても1部がくり抜かれたかのように思い出せない。
この試験中に重大なことは起こっていないし対したことじゃないだろうから思い出せなくても別にいいけど。

きょろきょろとあたりを見回してみてもイルミとヒソカの姿は無くて急に不安になる。

すると突然私を呼ぶ船内アナウンスが入り、何が何だかわからないまま何とか呼ばれた場所まで辿り着いた。

こんこんこん、とノックして失礼しますと深々と頭を下げる。

彼は確か会長さんだ。


「そこにかけとくれ。まずなぜハンターになりたいのかな?」なんて質問にはハンターが何かわかっていないと答えると大爆笑されデジャブを感じた。


「いや、私知らない間にここに連れてこられて、しかも殆ど眠ってる間にことが終わっていて何が何だかわかってないんです」


もしも寝溜めできる身体ならば1週間程は寝ないで活動ができてしまうくらいには眠っている。

しかも試験は殆どイルミとヒソカにどうにかしてもらってる。
一次試験は運んでもらい、二次試験は針を刺されて豚を料理し、スシを作った。三次試験は最初の方だけ自分の力でどうにかしたけれど肝心なところはイルミに助けて貰って四次試験はイルミに任せっきり。
私が成し遂げたのはスシだけだ。

これは本当に有効なのだろうか。

「おぬしは悪運が強いのう」なんて笑う会長さんに「これ私の実力じゃないと思うんですけど…真面目に受けている受験生さん達に申し訳なくて」と俯く。


「この試験はなんでも持ち込みOKじゃ。おぬしの場合は44番と301番を自分が試験に挑むためのツールとして持ってきたとかんがえればいいんじゃよ。深く考える必要はない」

「どっちかと言うと私の方が荷物として連れて来られたんですけどね」


しかも私を嫁にするための一手段として使われている。
ハンターはとても人気の職業だと試験を見ていてわかった。
だからこそ真剣に受けに来ている受験生にはやっぱり申し訳なさしかなかった。


「まぁ良い。おぬし以外の中で1番注目しているのは?」

「ちゅ、注目?えっと99番と405番と403番ですかね」


キルアくんは私がこの試験中に唯一まともに話してお互いにお名前まで知っているし、405番くんと403番さんは私を二次試験会場まで運んでくれて、そして心配までしてくれた。
そういう意味では注目しているのかもしれない。


「では今一番戦いたくないのは?」

「えっ、出来れば誰とも戦いたくないです」


最終試験は戦闘くさい。はい、詰んだ。

面談から解放されて私はとぼとぼとベンチに戻った。

戦闘なら誰とあたっても詰みだ。デスマッチとかさせられたらどうしよう。
すぐに死んだふりをするしかない。

いたいのはやだなあ。
窓の外を見ながらずっと会っていない両親のことを思い出して私がもしも死んだらあちらの世界ではどうなってしまうんだろう。なんてぼんやり考えてみたけれどさらに心細くなるだけで私にわかるわけがなかった。

このままうじうじしてしても仕方が無い。
私は気分転換に飛行船内を探検してみることにした。
受験生が殆どいなくなりずいぶんと静かになった今なら安全だろう。

リュックを背負い、とことこと歩き出すと後ろでガタッと大きな音が聞こえて驚いて振り返ると黒い格好でスキンヘッドの男の人が尻もちをついていた。


「だ、大丈夫ですか?」


慌てて駆け寄り手を差し伸べる。
彼は何かに躓きでもしたのだろうか。


「だだだだだ、大丈夫だそ、それよりお前それ」


すごい慌て方をする彼は私の太ももを指さす。
その指先を辿ってみると、スカートが盛大に捲れあがってしまっていた。

下に履いているからそこまで慌てる必要はないのに。なんて思いながらスカートをなおす。


「すみません気が付きませんでした。教えていただきありがとうございました。それより大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」

「あ、ああ。大丈夫だ。その、気をつけろよな。じゃあ」


風のような速さで私の前からいなくなってしまった294番さんにぽかんとしていたが、自分のやろうとしていた事を思い出してまた歩き始めた。
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