非日常のとビら

□20日目 心配
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イヤホンから流れる音楽と画面に映し出されるターゲット。
タイミング良くタッチしていきコンボを重ねていく。
とんとんとんとん、と指がパネルの上を滑り、perfectという文字と共に消えた。


「きったあ!!フルコン!!」


盛大にガッツポーズをして、ツイッターにあげる用にスマホで写真を撮った。
横で見ていた友達は小さく拍手をしてくれている。


「おー!やったじゃんココナ!その曲めっちゃ練習してたもんね」

「ゲーセンで音ゲーしたのすごく久しぶりだから鈍ってるかと思ったけど何とかなったわ」


今日は友達とゲーセンに来ている。
自分の身体自体がコントローラーとなるダンスの音ゲーや、ノスタルジックな世界観のピアノの音ゲー。指でビートを刻む音ゲーや、譜面をジェットコースターのように追っていく音ゲー、歌うように〇✕△□のボタンを押す音ゲーなど、様々な音ゲーに手をつけて一時期破産しかけたからしばらく来ていなかったのだ。


「ねぇねぇココナ。近くにさ、ドール育てるゲームの台が置いてあるところあったじゃん?私あのカードゲームやりたいあそこ行こうよ」

「いいね、あそこあの全体的にくそダサい男性アイドルの台もあったよね。褒め言葉だよ?」


ちなみにカードゲームにも手を出して破産しかけたからそれも一旦やめていた。
しかし最近は全然出かけていなかったため、久しぶりに遊びたくなったのだ。

私は偉いから生活費の中から自分のお小遣いをしっかり決めてそれ以上は使わないようにしている。
さすが私。できる女はモテるんだぞ!


「バインダーちゃんと持ってきてる?」

「あったりめぇよ!てかココナも私も学校にいつもバインダー持ってきてるじゃん。お互いほんと抜かりないよね。うける」

「だってあんたも私も思いつきで行動するじゃん」


雑談をしながら場所移動する。
こうやって友達と思い切り遊ぶのは久しぶりだからすごい楽しい。

放課後に思いつきで行動し始めるのはよくあることだ。
今日だって学校が終わってすぐにゲーセンに来た。
きっと今日は晩御飯も一緒に食べるコースだろう。

私の友達は私のようなオタクの癖にちゃっかり彼氏がいる。
別に羨ましいと思ったことはないけれど今まで仲良くしていたのは私なのに取られた感じがして彼氏に嫉妬している感はある。
この前のお祭りだってあいつに横取りされたし。

しかし好かれるのが普通の人間で羨ましい。
私が好かれるのは大体おかしい人ばかりな気がする。

根に持っている訳では無いけれど、幼稚園の時だとはいえ私に一方的に好意をよせてファーストキスを奪っていった男の子から始まり、その他には彼女になってくれるなら誰でも良さそうな奴に逆にめちゃくちゃメンヘラな男、まだ他にもいるけれど、今までの人生で本当に私を好いてくれている人はいなかったような気がする。
極め付きには異世界人の玩具になっていて…
いや、今はあいつらのことなんて考えなくていいだろう。

久しぶりの女の子どうしのでえとを楽しむためにあいつらの存在を頭から抹消した。
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