ココロ

□3. 技の名前は中二病っぽくなるよね。
1ページ/2ページ



お金がないのなら天空闘技場に行けばいいんだ!


天空闘技場なら、お金貯められるし、100階まで行けば個室もらえる。
個室をもらえたら、仕事の事など、周りのことをしっかり見る余裕ができるはずだ。
もちろん今日中に100階まで行くことができるとは全く思っていないが、行けなかったとしてもファイトマネーで安い宿泊施設に泊まるか、最悪野宿をすればいいだろう。
でも出来れば野宿はしたくない。一応女という性別なのだから男の人より危険があるという事を私は身をもって経験した。
そのおかげで念を使えるようになったんだけどね。


今考えるべきことは、どうやって闘技場へ向かうかだ。
当然のこと、私にはこの場所が何処なのかすらわかっていない。
所持金すらない私が闘技場にたどり着くなんて夢のまた夢だ。

このままでは餓死という意味のわからない死に方をするのでそれだけは避けたい。

でもこんな時の念。瞬間移動できる念があれば便利な筈だ。
私は全統系100%だからどんなことでも出来るはず。
身体能力的なステータスは申し分なかった。


全統系100%は最強なんじゃないか?と思いもしたが、自惚れるほど戦闘経験があるわけでもない。
やはり少しでも強くなるためにも闘技場に行くのは生きていくために必要なようだった。


お金貯めたらよろず屋でも作ってさらに技を磨こう。
そう心に決めて瞬間移動の技について練る。

知ってるところなら何処にでもいける方が便利だが、第1に考えるべきことは精度だ。
精度が良くなければ意味がないので、少しでも成功率を上げるために制約と誓約をかけておきたい。それに、これからのことを考えると攻撃が出来るものが必要だろう。

魔法陣にしよう!と直感的に閃き、イメージを膨らませた。



召喚されし魔法陣

銀色の魔法陣の中に入ると瞬間移動ができる。
赤の魔法陣は入ったものに攻撃する。
狭ければ狭いほど攻撃力が上がる。



ふぅ、と深呼吸をして、早速銀色の魔法陣をつくり、入ってみる。
すると次の瞬間、目の前にすごく高い建物が現れた。

成功したことにほっとしながら上を見上げる。想像してたより大きいし、結構人が並んでいるようだ。

これ何時間待たなきゃいけないのかな。なんて思いながら私は列に並んだ。



それから3時間後。やっと受付を済ませることができ、ぐっと伸びをする。
話し相手がいれば少しはましだったかもしれないが、生憎そんな人はいない。暇を潰すものもなかったのでただ立っているしかなく、精神的にくるものがあった。
しかし、思っていたよりも並ぶ時間が短かったので私はついていたのかもしれない。


3時間黙って立ちっぱなしだった私は、やっと中に入れる!という安堵感よりも、今まで結構引きこもっていたのにそれほど疲労感を感じていないことに対する違和感の方が大きかった。


そういえば、今何時なんだろう。


ここに来てから一度も時計を見ていないので私は現在の時刻を知らない。
周りを見回しても時計は見当たらないので、仕方なく手続きをしてくれているお姉さんに時刻を聞いてみることにした。


「お姉さん今って何時なんですか?」

「えー、今は午前9時半です。ヒカル様は3203番です」


学校から帰って来たのは夕方だったが、何故か今は午前中になっている。
でも今が午前9時半だということは、こっちに来てからだいたい4時間ほどの時が過ぎているということだ。
ということは、こちらの世界に来たのは午前中の5時頃だろう。
午前5時なのにあんなに賑わっていたのか。
そんなことに驚きながら奥へと進む。


で、私は3203番だったよね…


4桁の数字に少しだけ不安を感じながら闘技場の中へと進んでいく。

闘技場の中は結構広く、沢山の人で溢れていた。
さすが闘技場とでもいえばいいのだろうか。ちょっとどころじゃなく煩い。


「2987番・3203番の方Cのリングへどうぞ」


さん、にー、ぜろ、さん…私だ!


早速Cのリングへと向かう。
気になる戦闘相手は…なんかガラの悪そうな人だ。
体格の違いにさらに不安が大きくなる。
私は無一文だから万が一大きな怪我をしたら…うわあ。


「両者リングへ」

「ふんっ、なんだ?こんなちっこい嬢ちゃんが俺の相手か。俺も舐められたもんだな」


舐められたものだな。とあくまで上からの発言をする男に腹が立ち、思わず「嘗めてかかったら痛い目見るよ」という言葉がこぼれ落ちる。
痛い目を見そうなのはどう考えても私だが心で負けたら終わりだと思い虚勢を張ってみた。


攻撃は最大の防御。
私は強く地面を蹴るとガラの悪そうな、いやガラの悪い男の腹をめがけて精一杯の蹴りを入れた。
私の足の方が折れないかな…



「そんなへなちょ……」


悪態をつく間もなく男の体は宙に浮き、そして吹っ飛んでいった。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ