ココロ
□7. 頼むからゆっくり休ませてくれ
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しばらく話をしていると、いつの間にやらとっぷりと日が暮れていてジンに家に帰るように言われた。
「ありがとな。今日は楽しかったぜ。今度は仕事なんかじゃなくて普通に会おうな!」
「うん!私も楽しかったよ!暇な時に連絡してね。バイバイ!」
ジンに背をむけて地面に手をかざす。
“召喚されし魔法陣”
そしてヒカルは陣の中へと消える。
「また、な」そう呟いたジンの声は暗闇に溶けていった。
ーーーーーー
帰ってきたらすぐさま浴室に向かい、シャワーを浴びる準備をする。泥だらけの状態で家に上がるのは嫌だったので直接脱衣所に飛んだ。
はぁ、疲れた。
身体的な疲労感を感じている訳では無いけれど気持ち的に疲れた。
流石にジンをあんなにあっさり見つけられるとは思わなかった。
はやくシャワーを浴びてしまおうと泥が落ちないように慎重に服を脱いでバスルームに入る。
シャワーのコックを捻り、少し熱めのお湯を浴びながら今後のことを考えた。
ジンと会えたおかげで、なんだか仕事に対しての自信がついたことは確かだ。
原作でジンを見つけることはすごく難しいことだと書いてあったのにいとも簡単に見つけてしまったところから、私はそこそこの素質を持っているのだろう。
でも私はそこまで強い訳では無い。
いくら素質があったとしても、使いこなせなければ意味が無い。
戦闘準備期間が90日だから、だいたい3ヶ月くらいは住む場所のことは考えなくても大丈夫。
でもハンター試験は5ヶ月後だし、ずっと闘技場にいるわけにもいかないからお家のことも考えておかなきゃいけない。
でも……いや、そんなことより私には考えるべきことがまだまだある。
やることが山積みだよ…明日もお仕事あるし、今日は寝ようかな。
考えることをやめ、さっさとバスルームを出ると、ベッドの中に潜り込み、瞳を閉じた。
かちゃり。
玄関の方からそんな音が聞こえてきた。
音をたてているのは絶対わざとだろう。
うんざりとしながら起き上がるとやはりそこにはヒソカがいた。
「なんの用だよ!不法侵入だって!私もう寝たいんだけど!」
「もう寝るのかい?ご飯はちゃんと食べたの?」
なんでそんなこと心配するんだよ!お前には関係ないだろ!
ちょっと嬉しいけど!
「食べてないよ」
「ヒカルは細いんだからちゃんと食べなきゃダメじゃないか♦」
おかんかよ…それに私は標準だ。ヒソカがムキムキすぎるんだよ。
私はもう眠いんだよ寝かせてくれよ…
「一食くらい抜いても大丈夫です。今日はいろいろあって疲れたの」
「ってコトは仕事がちゃんと入ったんだ♦」
「うん、入ったよ。雑用的なのと、1件めっちゃ大変なのが…そう!その1件に全精力を使ったの!」
なんだか私の心配をしてくれていたみたいだ。何を企んでいるんだろうと思う反面、他人のことを気にかけるのかとも思う。
私の中のイメージでは人のことなど興味がなさそうで、強いか強くないかで人を見ていると思っていた。
紙面だけでは表せない部分が沢山あるのかな。
そんな風に考え事をしていたせいで室内には静寂が訪れていた。
そこまで話す話題がない上に、そこまで仲良くなっている訳でもないから非常に気まずい。
な、なにか話題…話題…
いやいや、なんでこいつが勝手にやってきたくせに私が気を遣わなくちゃいけないんだ。
しかしそう開き直っても気まずいものは気まずい。
おいヒソカ!なんか喋って!