ココロ

□8. 初めての暗殺1
1ページ/3ページ



午前9時半。


私はまだ眠りの淵を彷徨うぼんやりとした頭で携帯を操作しメールをチェックすると、今日は5件の依頼が入っていることを確認した。


5件…まぁ、そんなに甘くないか。


家事や犬の散歩のような仕事がたくさん来たのは最初の方だけで、今はもうそんな仕事ではなく念能力を使う仕事の依頼がほとんどになっていた。とはいえ雑用の仕事もあるのだが。
ほとんど依頼のない日が続いたりしていたが、1ヶ月ほど仕事をしていると、ポツポツと依頼が入ってくるようになっていた。

依頼内容を詳しく見ていくと、なんだか気になるものを見つける。


暗殺の依頼?しかも情報とかもある…

今日の依頼は3件が昨日と同じような雑用、1件が暗殺、そして奪還。そしてもう1件が情報を知りたいというものだった。


なんかいつもよりハード!情報を集めなくちゃ…生命を宿す手だったら少し時間がかかるし…新しい念を考えなきゃ仕事出来ないじゃん…

うーん。と少しの間考えているといい念を思いついた。



全てを見通す瞳

瞳にオーラを水状にしたものを流し込んでから瞳を閉じると相手の情報がわかる。写真に知りたい相手の名前を書き込み念をかけると、より詳しい情報(念能力やスケジュール、癖や最近ハマっていることなど)を知ることができる。


これで、わからないことは生命を宿す手で補おう。暗殺は…まぁやってみよう。なんとかなる。

正直人を殺せなんて言われてもいまいち実感がわかない。
そんな中途半端な気持ちで人を殺しに行けるかと問われたら答えはnoだ。
できれば人の生命を奪いたくはないけれど、人がやりたがらない上にリスクのある仕事は儲かる。
そして重要なこと。私がこの世界に沿っていくためには闇に浸からなければいけないのだ。
ヒソカに接触できたけれど、私が弱いことがヒソカにバレてしまえばそこで私は終わりだ。
それにアイツがいつ私から興味を失くすかなんてわかるわけがない。
そもそもここは紙面の中の世界。
外側から見ていた昔とは違って確かにヒソカという人間は存在していて心だってある。
いつ私から離れて行くかわからないのだから、なるべく独りで生きていけるようにしなければ。
そんな不純な気持ちで人間を殺そうとする私はやはり悪人に違いない。
でも犯罪者なんてみんなそんなものだろう。


暗殺についてゆっくり考えると、今日入った依頼も全て受けることにした。
雑用を1時間もかかることなく終わらせた。そして情報の仕事は、ロルムという人の情報をなるべく詳しく知りたいというもので、写真もついていた。その画像をコピーしながらふと思う。

この人の情報は何に使うんだろう?

なんでもいいんだけどね。と呟きながらコピーしたものに名前を書き入れる。


‘‘全てを見通す瞳”


左目にオーラを流しこんでゆく。

痛い!なんか目が痛い!片目でもいけるかな?

とりあえず瞳を閉じてみると、容姿、性別、生年月日、趣味、特技、職業、今日の行動が見えたのでさらさらと紙に書いていく。


片目でもいけるんだな。あっ、でもなるべく詳しくって書いてあったのをすっかり忘れていた。ちゃんと写真も準備していたのに。

また目にオーラを入れて次は写真に手をかざし念をかけて瞳を閉じると、今日から一週間のスケジュールと念能力、住所と電話番号、ロルムと関わりのある人間の容姿と名前、いつもの習慣などがわかり、それも紙に書いていく。


これで…いいのかな?てか思ったより目が痛かった…てかまだ微妙に痛い…

鏡を見ると、目が真っ赤になっていたので、怖がられないように一応眼帯をしてから魔法陣で依頼主のところに行き、そして届けた。
今の私の姿は最高に中二病をこじらせた痛い女だ。
これに返り血とかついたら本当に中二病患者だ。


終わった…次はいよいよ暗殺か。


ムテイスファミリーのボスの暗殺及び使用人保護という依頼。

ファミリーのことも調べなくてはいけないと思い、また眼帯をとり全てを見通す瞳でムテイスファミリーについて調べてみた。

マフィアの情報なんかハンターでもない、ましてやこちらの人間でもない一般人の私がわかるわけが無い。

そう考えるとやはり情報系能力はなかなか重要なのかもしれない。

相手のことがよくわからなければ作戦を考えるのだって大変だからね。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ