ココロ
□12. 住む世界が違いすぎます
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「ほらほらヒカルちゃん!早く座って!」
イルミの後ろを金魚のフンみたいにくっついていくと、広いダイニングルームに着きました。
ダイニングテーブルは漫画やアニメで出て来る貴族が使っているような長いタイプのやつだ。
何処に座れば…と言いかけたとたん背中に強い衝撃が。
あまりにも突然で、不覚にも油断をしていたのでうぎゃっ‼っという変な悲鳴が出て、前に倒れこんだところをイルミが受け止めてくれた。
「うわっ‼」
「どうしたんですか?キルアお兄様」
そう言ってキルアとカルトが入ってきた。
変な悲鳴が出たことと、イルミに支えてもらったことが恥ずかしくて、耳まで真っ赤になる。
なんで私はこんなところで立ち止まったんだ。
「あっ…あっ…ごめんなさい!もう離してもらって大丈夫だから…」
離してもらうとわぁぁあ!と顔を覆う。
「お前だれ?」
「イルミお兄様侵入者ですか?」
「侵入者だったらとうに殺してるよ」
「そっか、てかなんでここにいんの?」
「ヒカルはよろず屋だよ。そこそこ強かったし、面白いから連れてきた」
私が落ち着く間には私について説明がされていた。
いや、面白いからって…連れてきた理由それかよ…
「お前ヒカルって言うのか。オレはキルア、よろしくな」
「うん、よろしくキルアくん?」
生意気言ったら年下だろうと問答無用で殺される…
羽毛のように繊細なものだと思って接していくのが吉だっておみくじもいってた。
「普通にキルアでいいよ」
「うんっ、よろしくねキルア!」
フレンドリーで、殺されない的な意味で大丈夫そうだったから仲良くなれそうな気がして少しだけ嬉しくなった。
笑顔は仲良くなれる魔法だ。そう思って微笑むとキルアはうつむいた。
まさかこんな反応を返されるとは思わなかったため彼に何か悪いことをしただろうかと顔を覗き込もうとしたが、服の裾を引っ張られたので振り向く。
「ヒカルお姉様!ボクはカルトです。よろしくお願いします」
「お姉様って…」
どうして年上とわかった。私と彼に差などない。ここは気にしないほうがいいのかな。悲しくなる。
「カルトずるい!オレもヒカル姉ってよぶ!」
2人で私をどう呼ぶかについてわーわーと争いはじめられた。
殺されないのならゴミくずと言われても怒らないよ…
「キルア、カルト....?」
イルミお兄さんはふたりの喧嘩を威圧感で鎮圧させました。長男すごい。
「ヒカル、オレの隣に座りなよ」
私の座る場所問題は私をこの家に招いた張本人が解決してくれるそうです。
「ヒカルなんか抜けてるから毒が心配になってきたよ」
「えっ!ヒカル姉に毒入りのを食わせるのか?大丈夫なの?」
「たぶん…いや、大丈夫」
私の返事を聞いて3人は不信感を募らせているようだ。
死んだら死体処理しなくちゃだもんね!あと毒殺ってどうなるか知らないけど汚くなりそうだもんね!
「無理しないでね」「やっぱり毒なしの作らせたほうがいいんじゃね?」「お姉様なら死んじゃいそう…」
それぞれから言いたい放題に言われる。すべてその通りだけど、薬を飲んだから大丈夫なはずだ。
一応妖精の能力の方は信じてあげている。
「大丈夫だよ。うん」
「自分に言い聞かせてる感が大丈夫って言ってないよね」
「気のせいだよ!すごい大丈夫!」
鋭い。鋭いぞ長男。
「まぁぁぁ!イルミとそんなに話すほど仲良くなったのね!」
3兄弟が賑やかななか、キキョウさんまで入ってくる。
こんなに賑やかなのは本当に久しぶりだ。ここに来る前からずっと一人でご飯を食べていたから誰かとご飯を食べるということ自体が久しぶりだけど。
「タメ口でもいいと許可をもらった次第です!」
びしっと敬礼をしてそういうと、隣のイルミは眉を顰めたが気にしない。気にしたら殺られる。
この賑やかさに楽しいと思えるのはもしかしたら心に少しだけ余裕ができたのかもしれない。