ココロ

□13. お引越し
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番外編を読んだほうがより楽しむことができます。
番外編→眠気って恐ろしい


ああ、あまり寝た気がしない…

むくりと起き上がると大きなあくびがでた。


「おはよう、よく眠れた?」

「いや、全然」

「うん。だろうね」


だろうね。じゃない!それで済まないぞくそ!なんて心の中で罵倒してもどうしようもないから依頼が来ていないかメールをチェックする。


150件。なんかわかんないけど一気に増えてる!全部いけるかな?


「仕事内容をちゃんと考えて、1日最高で15件くらいまでにしたほうがいいよ。報酬が高くて簡単なやつの方がいいんじゃない?」

「わっ!気配を消して近くのやめてよ!」


でもイルミの言うことは正しい。1日で暗殺の仕事は頑張っても3件くらいしか消化出来ない。でも情報の仕事ならば15件は出来るだろう。
あとは期間と報酬を考えればいいだろう。


「ヒカルなら倒れるまで仕事しそうだしね。休む時間も必要なんだからね?」


私の言葉はイルミには届いていなかったようだ。あと心配してもらった。ちょっとだけ嬉しい。


「イルミが優しい」

「オレはいつでも優しいよ」

「そう。よし、もう仕事に行きたいんだけど、イルミ昨日はどうもありがとうございました!キキョウさんとシルバさんにも挨拶していかないとね!」

「えっ、朝ごはん食べて行かないの?」


こてん、と首を傾げられる。かわいい。


「今日は新しいお家に引越しもしなくちゃいけなくてね」


そう。ようやく自分のお家が出来たのだ。
闘技場暮らしも悪くは無かったけれど、ヒソカという侵入者が居なくなるのはなかなか嬉しくはある。


「ふーん、いつ建てたの?」

「あのね、ジンって友達が建ててくれたの!」


引っ越しの話は、ジンから依頼があった、あの日に話した内容の1つだった。
確かジンが住居の話を降ってきた時の事だったと思う。


「お前今どこ住んでんだ?」

「なかなか唐突だね…天空闘技場だよ?」


すると少しだけ眉を顰められ、真顔で「ちゃんとした家はあった方がいいと思うぞ?」と言われた。

そんなことはわかっている。
あそこは家賃はないけど90日に1回みんなの前でファイトしなければいけないからなぁ…

闘うのが好きなわけではないけれど嫌って訳でもないから今のところ何とかやれてる。
でも試合終了後に何故かサインを求められたり握手を求められたりでわちゃわちゃするのが大変なのはある。


「お金が貯まって余裕が出来たら建てようかなって…」

「お前にはちゃんとした休む場所が必要だ!」


うーん。いまの話を聞いていなかったのかな。


「いや、だからお金貯めて…」

「オレが建ててやる!」


突然の申し出に「へ?」と間抜けな声がでる。


「いや、だから家建ててやるって言ってるんだ」

「悪いよ!大丈夫だから気にしないで?」


報酬の金額も高額で申し訳ないと思っているのにそこまでさせられない。


「オレはお前を気に入ったんだ」

「これは気に入る気に入らないの問題じゃないよね」


ここの世界の人は何処かぶっ飛んでるような気がする。


「ヒカルがゆっくり出来るように山の中腹らへんに建ててやるからな!」

「え、いや、だから」

「で、ヒカルはどんな家がいいんだ?」


ダメだ、聞いてくれそうにない…でも家建てる手間が省けていいかもしれない。


「お願い…してもいい?」

「やっと乗り気になったか‼遠慮しないでどうしたいのか言ってくれ!」

「じ、じゃああまり広すぎないような普通のお家にして欲しいな…あと、大きなお風呂が欲しい!あとは全部ジンに任せるよ」


言ってから思ったが、普通が私と同じ感覚であることを願いたい。


「おう!任せておけ!出来次第連絡するからな!」

「お願いします!」


そして少し前に連絡が入って今に至る。

こんなに早く連絡が来るとは…知識がない私でも、家を建てるのに1ヶ月足らずで家が建たないということはわかる。
契約とかそういう手続きはそんなに早くできるものだろうか…この世界に不可能はなさそうだけど。
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