ココロ

□14. ハンター試験にいきましょう
1ページ/3ページ



しばらくお休みさせていただきます。とサイトに書き込みができたことを確認すると、私は小さくよし、と呟いてから立ち上がった。

仕事の方はこれで大丈夫だ。
さて、ザバン市に向かおうじゃないか。

さすがにたくさん待つのは嫌だから少し待っていようと思っていたけれど、そわそわしてしまって何も手につかないし、どのくらいの時間が丁度いいのかもわからない。
それならもう行ってしまってもいいだろう。


“召喚されし魔法陣”


ドキドキとしながら人通りが少なそうなところに出る。
明るい道の方に出ていくと、視界が開けて私が来たかった、狙い通りの所に訪れることができた。
恋焦がれた地を今この目で見ていると思うとまだ何もしていないのに謎のやりきった感が私を包む。


漫画で見た定食屋が目の前にあるよ!感動で涙が出てきそう!


ワクワクしながら定食屋の扉を開ける。
緊張よりも今は冒険心の方が勝っていた。


「いらっしぇーい‼御注文は?」


このなんともいえない喜びはなんなんだろう。
漫画の通りの言葉が彼から紡がれているなんてプレミアムな聖地巡礼をしている気分だ。


「ステーキ定食で」


少しだけ目が細められたのがわかる。
私は顔がにやけそうなのを必死に堪えた。これじゃあ私が不審者だからね。


「焼き方は?」

「弱火でじっくり」

「お客さん、奥の部屋どうぞー」


うぇーい!いけた!なんだかテンション上がる。

お姉さんに案内されてステーキのある部屋についた。

ステーキ定食が出されているということはしばらくこのエレベーターに乗っていなければいけないと言うことなのだろう。

閉所恐怖症の人ならばここでリタイアしてしまいそうだ

ステーキを食べやすいサイズに切り、もぐもぐと咀嚼しながらこれからの事に思いを馳せる。


私は何番になるんだろう?かっこいい数字だったらいいなぁ…
現在はお昼時。多くも少なくも無いはずだ。

ステーキ定食を食べ終わる頃。チン、と軽い音が鳴ってエレベーターの扉が開いた。


「はい、番号札です」

「ありがとう」


35番か…なんか微妙な番号だな。キリはいいけど。


壁際に座る。と例のアイツが駆け寄ってきた。


「よっ、オレはトンパよろしくな」


来たなトンパ!こいつも現在でかなりピックアップされていたけれど、私は出来ればこいつとあまり関わりたくない。

新人潰しなのだから私ももれなく潰すつもりなのだろう。
どうにかして舐められないようにしなければ。

私ならばとんと押すだけでこいつを倒せそうだけど騒ぎを起こしてヒソカみたいな危険人物にはなりたくない。
ここは隠密に事を進めなければ。


「こんにちは、トンパさん」


そう言ってにっこりと微笑む。
油断させてから突き落とす作戦決行だ!
私はお前の企みを知ってるんだぞ。


「こんな可愛い子が試験を受けるなんてびっくりだよ、お互い頑張ろうぜ!」

「はい!絶対に受かってみせます!なので呉々も下剤入りのジュースを渡さないようにしてくださいね」


トンパの顔からサァっと血の気が引いてゆくのがわかった。
可愛い子っていったのに下剤入りジュースを渡そうとするのは社交辞令で言ったからだもんね。可愛くないことくらい知ってるよ…


「あ、また誰か来たから挨拶してくるな!じゃっ」



トンパが去っていくのを見ながら35番ってことはあと少しでヒソカが来るよなぁ…とぼんやり思う。
しばらく休めなくなるし今のうちに少し寝ておこうかな。

試験会場にたどり着いて少しだけ身が引き締まった。
今なら冷静な判断だってできる。


まわりにバレないよう魔法陣からブランケットを取り出す。このブランケットはボタンがついていて、そのボタンを止めると被ることが出来るのだ!ひらひらするのが可愛いし、猫の耳がついていて可愛かったので衝動買いしてしまった代物です。

この念すごく便利。我ながらいい念を考えた!

毛布を被り、肌触りを楽しんでいる間にいつの間にか意識を手放していた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ