ココロ

□16. 足元注意!
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ギギ、ギギと音を立てて扉が開いていく。
扉の軋む音も相当大きいけれど、ぐるるるるー、ゔぉるるるーというお腹の音も相当大きい。


「どお?おなかは大分すいてきた?」

「聞いてのとおり、もーペコペコだよ」


おなかが鳴る原因って、飲み込んだ空気や消化器官の中のガスが胃腸などの消化器官の中で胃の蠕動運動によって水とか消化液、分泌液とかが混ざる時に出るんだよね。
あれだけ大きな音が出るってあの人の胃腸はどうなってるんだろう…

っと、クラピカ的思考はやめよう。こんなことを考えてもしかたない。


「そんなわけで二次試験は料理よ‼美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意してちょうだい」


メンチって美食ハンターなのにめっちゃスタイルいいよね。いいなぁ…

何もしないで痩せたい。
食べながら痩せたいわ。

他の受験生はどんな料理を作るのかドキドキしているであろう中全然関係のないことを考える余裕がある私はすごい。


「オレのメニューは豚の丸焼き!!オレの大好物!!」

「共食いだ…」


そういうと、すかさずギルは「そう言う事は思っても口に出してはいけないんですよ」と私を叱った。


「それ一番失礼なやつだよ」


ピリピリした雰囲気のなか不謹慎な会話をする1人と1匹。ギルの声は他の人には聞こえていないので私が一方的に狼に話しかけているように見えているのだろう。
傍から見たらヤバい奴だね。

自他共に認めるヤバい奴になった所でスタートの合図が出た。

受験生が一斉に森の方へ走り出す中、私は1人試験官のふたりの元へ向かった。


「ごめん怒った?」


そう思うのは共食いと言ったあたりから殺気を飛ばされていたからだ。
そんなに怒らなくたっていいじゃない。
私はてっきり狙って言ったのだと思った。

まあでも私はか弱い女の子だ。
ここはひ弱に行こう。


「この森に生息するのはグレイトスタンプだけじゃないの?それに殺気まで飛ばして…私怖くなっちゃった!」


肩を竦めて笑うと、メンチに「嘘ばっかり」と言われてしまった。


「少し嫌がらせのつもりだったけど知ってるんだ。世界一凶暴な豚だから面白そうだと思ったのに」


そういいながらもにこにことした表情を崩すことはない。
やっぱりこの人達は心理戦にも長けているのだろう。
この世界に来てから身についた殺気を感じ取る能力。
前の世界で殺気なんて飛ばされることが無かったから気が付かなかっただけで、もしかしたら誰もが身につけている能力かもしれないけれど。


「あら、それはごめんなさい。行ってきまーす!ギル行くよ?」


ギルに乗ると試験官2人に行ってきますと告げる。
少しタイムロスをしたけれどこれくらいなら取り戻せるだろうと周りを見回した。



立ち去った後に「35番、なかなか強いんじゃない?話しかけてきた時の殺気とか、オーラの絶対量がすごく増えたわよね?あんなに小さいのに」

「威嚇かな。あんなに抜けてるように見えるのにね」


という会話が繰り広げられ、試験官にも目をつけられはじめたことを私は知らない。




「あ!いた!豚いた!」


額を狙って攻撃し豚を捕まえる。

…これどうやって持っていく?重さ的には問題はない。問題があるのは大きさだ。持ち上げようにもバランスを崩してしまうくらいの大きさで持ち上げることができなかった。


「ギ、ギル…「さすがに無理です」どうしよ…」

「ヒカルに捕まえられるなんてこの豚もアホだね」


背後から声がかけられ、驚いて振り返る。


「ギタラクル。それどういう意味!」

「どうせアホだからこの豚どうやって持って行くか考えてなかったんでしょ?ヒカルは身長がないし」


たしかに私にはこれほど大きなものを安定して支えられるほどの技術も身長もない。
いや、てかこんなの巨人でもないときついでしょ。
女の子の平均とかそういうレベルじゃない。
しかし豚を運ぶことが出来ないのは事実なためにイルミの言葉を甘んじて受け入れる。

しかしゴンやキルアが運ぶ事が出来ていたならきっと私にだってできるはずだ。私は2tを動かせる腕力があるから力の問題でも無さそうだからあとはどうバランスを取るかという問題があるだけであって…


「どう持っていくか考えてなかったのは認める。でもここで念つかって持っていこうと思ったんだけど、まずは動かすことができないから魔法陣にも入れられなかったの」

「しかたないな…運んであげるよ」


まさかそんな提案をされると思っていなかったので驚く。それに…


「え、豚持ってるじゃん」

「これくらい大丈夫。火をおこすのだってできないんでしょ?」

「ゔっ」


図星だ。なにも言い返すことができない。
現代社会で火を1から起こす事なんてないに等しい。
そんな中で火を起こすだなんてで きるはず無かった。
あれは知識だけじゃどうにもならないって聞くし。


「あ、でも試験官に持って行く時は頑張ってね。ほら、行くよ」


最後まで何も言い返すことができずついていくしかなかった。まぁ、一応合格出来たけど、試験官にもって行くときは死ぬかと思いました。
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