ココロ

□最終話. タイミングって大事
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私絶対戦いたくないって言ったよね?
いくら試験官が言っても普通ヒソカと一緒にしないよ?

そう思っている間にもヒソカの容赦ない攻撃が次々と襲いかかる。

それをひらりとかわすと空いていたヒソカの脇腹に蹴りを入れた。


うわっ、こいつ蹴られたのに笑ってるよ。


「ヒソカキモい」

「それは褒め言葉として受け取っておくよ♠」


どんどん2人のスピードが上がっていく。
目で追ってこれるのはイルミとネテロや数人の試験官くらいになっていた。


「なあゴン、見えるか?」

「ぜ、全然…」


ほかの人には肉のぶつかる音があちこちで聞こえるだけ。

それだけで、次元が違うと思い知らされる。


「やはり、ヒカルはただ者ではないな…」

「ああ、そうだな。オレ達じゃあ勝つことは絶対できねぇ」


そう言って音のするだけの頭上を見上げていることしかできなかった。


そしてそれから4時間後、頭上ではヒカルがヒソカを押していた。


「あれ、ヒソカ?遅くなってきてない?」

「ずっとこのペースでやっていたら少しはスピードも下がるよ♣」


少しだけ疲れの色が見えてきたヒソカに「んー?そんな疲れてないよ?」とけろりとした顔で言った。


「それが妖精の特典ってやつじゃいのかい?」


いいねぇ♦とニヤニヤと笑うので、「特典ねぇ…」とつぶやく。


「ボクはもうそろそろダメ…そうだよ♥もう降参だ…「うっそだあ。まだ普通にはなせ───」



突然ヒカルはふつりと糸が切れたかのように動かなくなり、落下していく。


とさっ…


「っと…どうしたんだい!?」


ヒソカはヒカルをキャッチし、様子を見るために顔をのぞき込んでみると気を失っている…というより眠っているようだった。
そしてイルミの隣にいたギルも消えていたが、周りの受験生はヒカルの方に気がとられていたので気がついていないようだった。

この状況は異常だ。
危ないとヒソカの他にイルミ、試験官たちはそう思った。


「これはどっちが合格なの?」というゴンの質問に受験生は一斉にネテロの方に顔を向ける。


「うむ…ヒカルじゃな。ヒソカはもう既に降参と行っておったからの」


少し考えるようにして、ヒカルの合格を告げた。


「ヒカルさんは私が…」と試験官が言うと、ヒソカは少し嫌な顔をしたが大人しく受け渡した。

所々傷がつき気を失っているヒカルはそのまま運ばれて行く。


「ヒカルに傷が残ったらどうするの?そんな事になったら許さないけど」


怒りの色を露にするイルミに「ボクはどんなヒカルでもいいからね♦」とヘラヘラと笑うと
「そういう問題じゃないの。殺すよ?」カタカタという音をより一層大きくした。


「まぁ、ボクも気を抜いたら危なかったんだよ♣」

片手をあげ、方を竦めて笑うヒソカに「じゃあなんで早めに降参しなかったの?ギルが消えるほどヒカルダメージ受けてたじゃん」と思ったことを尋ねる。


「だって、こんな時じゃないとヒカルは戦ってくれないだろう?」


イルミはもう何も言わなかった。
このどうしようもない戦闘狂に何を言っても無駄だと考えたからだ。

ヒソカと針人間の異様な雰囲気に他の受験生は少し身体を強張らせる。


そして、あまり良くはない雰囲気のなかで試験は続くのであった。
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