GS短編(1〜3混合)

□会いたいだけ(GS1氷室×主)
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11月6日は零一さんの誕生日だ。本当は会ってお祝いしたい。
でも今、はば学は文化祭の準備で忙しい。零一さんは吹奏楽部の練習やクラス展示の準備で毎日遅くまで学校にいるみたいでちっとも会えない。
その前もずっと忙しくしているみたいで遅い時間にメールがくるだけ。
もう随分会っていないような気がする。

昨日の夜も『おやすみ』ってメールしたのに結局返事は来なかった。

さみしい・・・会いたいな・・なんて思っているのは私だけなのかな。
やっぱり私が幼いのかな?
なんて思いながら大学の講義室の空いた席に座って携帯を見つめていた。

「となり、良いか?」
顔をあげると珪君が立っていた。
「あ・・・うん」
珪君は高校の時から今もずっと私の大事な親友。
「どうした?何かあったのか?」
珪君はいつも私の気持ちはお見通しだ。私の不安な気持ちなんてすぐバレてしまう。
そしていつも軽くしてくれる。
「言えよ。・・・・・無理にとは言わない」
教授が入ってきて講義が始まったので小さい声で言った。
「今日の講義が終わったら時間ある?話、聞いてくれる」
「ああ、もちろん」
また、私は珪君に甘えてしまう。


「・・・・で?」
私たちは講義が全部終わって、大学の近くのカフェで向かい合って座っていた。
「あのね。もうすぐ、はば学の文化祭だな。って」
「ああ、もう そんな時期か」
「でね、文化祭の準備って毎日忙しいよね。吹奏楽部だとその前からもずっと忙しいみたいなんだよね」
「ああ、だろうな」

私、何が言いたいんだろう。自分でもわからなくなる。
でも珪君は言葉少な目に聞いてくれている。
だから言葉を続けた。
「れ・・氷室先生の誕生日なの来週の6日。でも忙しそうだし・・・」
本当は会いたい。の言葉は飲み込む。

「・・・行くか?文化祭、付き合ってやる」
「え?」
「会いたいんだろ?だったら会えば良い。恋人に会いたいって思われて嫌な奴なんていない」
・・・いいの?また、珪君に甘えても?・・・
そう思って顔をみたら珪君は
「そんな顔、するな。言ったろ?応援するって」
「もう・・・何年前よ・・・うん」
「行こう、一緒に、な」
「うん、ありがとう、一人で行く勇気、なかった」

文化祭当日、私たちはいつも話をいていた公園で待ち合わせをして学校へ向かった。

「珪君、見たいところある?」
「ん・・・体育館裏、行ってみて良いか?」
「あ、そうか、まだいるかな?」
「ああ。」

二人で並んで体育館裏へと向かう。
途中、すれ違う生徒達が振り返り騒いでいた。
まずかったかな。珪君は今も人気のモデルだ。私と二人でいたら誤解されちゃう。
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