GS短編(1〜3混合)

□会いたいだけ(GS1氷室×主)
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SIDE零一(続きですがここから視点が変わります)

そろそろ吹奏楽部の発表の準備に取り掛からねば・・と会場に向かう途中、生徒達の騒ぎ声が聞こえてきた。

「葉月珪が彼女連れて来てるんだって!」
「え?あのモデルの?そういえば3年前の卒業生だったよね」
「彼女、すごい可愛いって男子が騒いでたよ」
生徒達の話が聞こえてきた。

葉月がか?恋人ができたなんて聞いていないが・・・なんせ、葉月は自分の恋人の親友とか言っていつも一緒にいる。
非常に腹立たしいが、そのおかげでか?言いよってくる男があまりいないらしい。
そんな事を考えながら歩いていると視界の端の遠くに葉月を見つけた。
なるほど、仲好さそうに歩いているのが見える・・・・・。

そこで、私は自分の目を疑った。
葉月と一緒に仲良さそうにしているのは、美奈子だったから。
美奈子は自分の彼女ではなかったか?
確かに最近忙しくてメールの返事をしていない。電話もしていない。

だからなのか?

遠くから私に気がついた二人はこちらへ寄ってきた。

美奈子は私に近づき
「ごめんなさい」と言った。
なにを謝っているんだ?
君を放っておいた私とはもうダメだとでも言うのか?

目の前が暗くなる。

「ごめんなさい、零一さん、どうしても会いたくて、ナイショで来ちゃいました」
「一般にも公開している。卒業生なんだから問題ない。しかし、何故葉月と一緒なんだ?」
そうだ、他にも居ただろう?女友達と来ようとは思わなかったのか?

「会いたい事を珪君に相談して・・・だったから、思いつかなかったん・・・だもん」
「・・・迷惑でした・・よね?零一さん忙しいのに・・」
彼女が名前を呼ぶたびに、近くの生徒の視線が突き刺さる。
「いや・・・迷惑ではない。むしろ・・喜ばしい」
顔が熱くなる。

「本当〜?良かった。嫌われちゃったらどうしよう、って心配だったんだけど珪君は大丈夫って言ってくれたんで思い切ってきたんです」
そう、言いながら美奈子は私の腕に抱き着いた。
まずい・・・顔が、にやけ・・る。
生徒達もどうやら真実に気が付き始めたらしく騒ぎだした。

「コホン・・美奈子、ここは学校だ。また、後で連絡する」
「はあい、じゃあ零一さん、またね」

去り際に葉月が私に耳打ちした。
「・・・・俺、いつでも奪う準備、できてるから。今日は誕生日プレゼント、という事で・・」

私はとんでもない人間からプレゼントをもらってしまったようだ。
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