薄桜鬼 現代 斎藤妹

□疑惑
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2度目のチャイムを無視して、しばらくすると。


「は〜じめ、く〜ん?」

間の抜けた総司の声が聞こえてきた。

しかも・・・・

《何故、家の中から聞こえるのだっ!》

まずい。

慌ててさくらの部屋から出ると階段を上がってきた総司と出会った。

「なっ何故に、家の中にいるんだっ」

鍵は、閉めてあった筈だ。

「昨日、一君に開けてくれってカギを渡されて、返し忘れちゃったんだ。
だから返そうと思って。それにさくらちゃんの事も心配でさ。だから来たんだよ」

「来たんだよ。では無いっ」

「それより一君、今さくらちゃんの部屋から出てこなかった?
しかもまだ着替えてないし。まさか、一緒に寝てた・・・なんて事ないよね」

これだから総司は厄介なんだ。

「っつ。起きてすぐ様子を見て、そのまま話していただけだ」

嘘ではない。ただ一緒に寝てたのは正解だが、絶対に言えるわけがない。

「ふうん。じゃあ、そう言う事にしておいてあげるよ」

話しているとさくらが顔を出した。

「沖田さん、おはようございます」

「さくらちゃんおはよう。具合はどう?一君に変な事されてない?」

「へっ変な事って」

「一君、むっつりだから心配だなって」
「総司っ!」

「さくら、食べたい物は無いか?」

「うーん、あ!コーンスープが飲みたいです」

「スープならば消化が良いな。総司買って・・・」

「兄様、確か缶のが戸棚にありますから」

そう言ってさくらが台所に向かうのを見て

「あれ〜兄様?呼び名が変わったんだね。
なんか、あった?」

「何もあるわけ無いだろう」

「そうかなぁ」

そう言ってニヤニヤする総司を無視し、自分も台所へ向かった。
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