薄桜鬼 逆トリップ 斎藤
□運動会
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一也の競技に合わせて学校へ行き斎藤さんと一也を応援した。
走る一也を見て
「一也は足が速いな」
感心したように呟く。
「すみれは、どうなんだ?」
「私は・・・のろいです。それに・・・」
「走ると転びそうだな」
図星をつかれて軽く怒るとしょんぼりとするので可笑しくなってしまった。
――楽しい――
大勢の保護者に囲まれているのに楽しいと思えた事なんて無いのに・・・
昼の時間になり3人で弁当を囲む
2人で食べていた去年、一昨年より楽しく、ずっと美味しく感じる。
そろそろ食べ終わろうとしたその時。
近くを通りかかった一也の同級生の母親から声がかかった。
――この人、私達の事をよく思っていないんだよね――
「あら、まさか弟の運動会に彼氏連れ?小学校なんだから風紀を乱さないで頂きたいわね。
まあ、親が居ないんだから分からないのも無理ないけど?
教えてあげるけど、小さな子を育てているって自覚はあなたにあるの?自分を優先していうようじゃ困るんじゃないかしら?」
――絶対になにか言ってくると思った――
言葉の攻撃にうつむくと
「なんで姉ちゃんがオバサンにそんな風に言われるんだよ。俺が斎藤さんに来てくれって頼んだんだ。それがなんで皆の迷惑なんだよ」
一也が喰ってかかる
「あら、そう?それがおかしいって教えて貰えないなんて可哀想ね」
「なんでだよっ。親が居ないからってそこまで色々我慢しなきゃ駄目なのかよ。姉ちゃんは、いつだって俺の為に・・・っ」
尚を続けようとする一也。
――止めないと――もっと言われて一也が傷つく――
その私を斎藤さんが制し
「一也は正しい事を言っている。言わせてやれ」
「姉ちゃんと俺の気持ちをオバサンは知らないのに、俺たちの事、何にも分からないのにっ・・・・なのにっ・・・」
そこまで言うと一也は泣き出してしまった。