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□会う為に
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※瑛視点
羽学の文化祭の前日声を聞きたくて、ゆかりに電話をかけた。
だけど話せたのは葉月さん。
俺はゆかりが出た瞬間に電話を切ってしまった。
――俺は2度もアイツから逃げたんだ――
俺ってつくづく駄目だ・・・・
実家近くで通い始めた高校にはまるで馴染めなかった。
勿論、馴染むつもりは全く無く羽学でやっていたような作り笑いも愛想も全部やめ、寧ろ無愛想を決め込んだ。
おかげで必要以外の事で俺に話しかけてくる奴はいなくて清々した。
ある日下校をしようとしているとクラスの奴等が騒いでいる。
聞こうとしていなくても聞こえてきたのはゆかりの名前。
「モデルのゆかりちゃんが校門の所に居るらしい」
その言葉に思わず反応してしまった。
「ゆかりがって、本当かっ」
「なんだ佐伯ファンだったのか?」
「いや、前の学校のクラスメイト」
「マジかよ?だったら一緒に写真とか頼めるかもな・・・って・・・おいっ」
クラスの奴の声を背に俺は走り出した。
遠目で見ても分かる、ゆかりだ、間違いない。
「ゆかり」
「瑛・・・、なんで・・・?」
「なんで、は、俺のセリフ。お前どうして此処に・・・」
「珪君が、何も言わずに此処に連れて来てくれて・・」
そう言いながら、後ろに停まっている車に目を向ける。
運転席に葉月さんの姿を確認できる。