GS逆トリップ(瑛)
□夢にかける思い (瑛)5
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「・・・帰ってきちゃった、か」
独り言を言いながら、ベッドに向かい横に置かれたままの携帯を確認する。
「嘘、だろ・・・」
記憶に間違いが無ければ、俺が名無子の所へ行った日のまま、時間も恐らく同じ位を表示している。
夢、だったのか?
いや、そんな筈はない。
手の中には名無子に渡されたカードと鍵。これが何よりの証拠だ。
まさか、時間の流れが違うのか?
・・・だったら、早く名無子の所へ行く方法を探したい。
でもまずは大学の卒業や色々な資格の取得が先。
何処で店をやるにしたって準備として、もっと色々学んでおきたい。
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名無子と過ごした日々から数か月が経ち、卒業が見え始めたある日。大学の構内で若王子に声をかけられた。
「やや、佐伯君、久し振りです。
・・・・・何か、悩みがありますね。ピンポンですか?」
急に発せられた言葉に挨拶をしつつ戸惑いを隠せない。
「俺の悩みですか?」
「はい、誰にも言えない秘密があると顔に書いてあります」
変に鋭い指摘に閉口するが、海野に若王子はマッドサイエンティスト的な一面があると聞いた事がある。
もしかすると名無子の所へ行く方法を見つけられるかもしれない。
等と黙って考えていると
「此処では話せない内容・・・・ピンポンですか?」
「・・・・ピンポン、です」
仕方なく返事をする。
「なら僕の研究室に来ると良い」
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「さて、聞かせてもらいましょうか?君の悩み。
これは君の高校時代の教師として力になりたいと思っているからですから警戒はいりませんよ」
俺の心を見透かすかのような言葉に賭けてみたくなった。
「・・・先生は異次元って信じますか?」
そう言ってから少し考え、いつも持ち歩いている名無子から貰ったカードと鍵を机に出す。
「これは?」
「俺の悩みの種で大切なお守りです。
俺は偶然、ここに行き暫くの間生活していました。
そこにまた行き約束を果たしたい」
「・・・詳しく、聞かせて貰ってもいいですか?」
そして俺は気が付いたら彼女の店に居た話から自分の部屋に帰っきてた話をしたのだった。
「時間の流れと次元が違う、ヒントは2つの住所そして・・・鍵」
ブツブツと言いながら色々な計算式を書き始める若王子。
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