薄桜鬼 現代 斎藤妹
□疑惑
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朝、目覚めると俺の腕の中にさくらがいた。
熱は?と思い、そっと額に手を当ててみる。
良かった、熱は下がったようだ。
ほっとしていると、さくらが小さく動き、目を開け俺の顔を見て驚いた。
「ど、どうして齋藤さんがここに」
「齋藤さんでは無いだろう。昨日の夜から兄様と呼んでいただろう。やっと兄妹になれたと思ったんだ。これからも、そう呼んでくれ」
「え・・・じゃあ、なんで兄様が私のベッドにいるんですか?」
「昨日の夜、1人じゃ嫌だと赤子のように駄々をこねたのだ」
まあ、多少違いはあるが構わないだろう。
すると
「あ・・・夢、じゃなかったんだ」
そう言い恥ずかしそうに顔を伏せた。
「来年は高校生なのに呆れましたよね」
「否、甘えられる時は甘えて良い・・・来年高校?お前14だから中2では無いのか?」
「えっと、早生まれなので今中3です。だから来年は高校生」
「・・・受験生だったのか」
今頃知る事実。
「あ、受験生って言っても高等部に進むだけだし、今の成績なら他の高校も推薦で行けるので受験は無いんです」
それからしばらく、ベッドの中でお互いの学校について話した。
俺が薬科大の3年であと3年は学生だと知ると
「じゃあ卒業が一緒なんだ。なんか嬉しい」
そう言って無邪気に喜んだ。
「腹は、減らぬか?それとも、もう少し眠るか」
「もう少しだけ、こうしていたいです。
いつも1人だったから、こういう時間ってすごく嬉しい」
そう言って、ふにゃりと笑う。
か・・・可愛いっ。
妹とは、こんなに可愛いものだったのか。
そう思っていると、玄関のチャイムが鳴る。
「誰でしょう?」
「どうせ総司あたりだろう。放っておこう」
それに2人とも寝ていた姿だ。出るに出れない。
もう一度チャイムが鳴るが、放っておいた。