薄桜鬼 現代 斎藤妹
□2人の関係は?
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さくらの卒業式の後、俺たちは無口なまま家へ入った。
思い出されるのは校門近くでの俺とさくらのやり取り、そして平助から発せられた言葉。
平助に言われたからでは無いが、自分のさくらへの気持ちは分かっているつもりだ。
俺はさくらを妹としてでは無く1人の女として、愛おしく思っているのであろう。
だからこの腕の中に閉じ込めたくなる。
ずっと大切に守ってやりたくなる。
できる事なら未来永劫、傍らで共にありたいとさえ思う。
しかしさくらは、まだ幼い。
今日やっと中学を卒業だ。
そんな目で見てしまう自分が嫌になる。
それにさくらの気持ちはどうであろうか?
知りたいが、知るのが怖くもある。
知ろうとする事がさくらを苦しめないであろうか?
知ろうとする事で2人の兄妹という関係が壊れてしまわないだろうか?
そうやって自分の思いを反芻しながら隣にいるさくらの顔を覗き見れば、ばっちりと目が合ってしまった。
「兄様?様子がおかしい気がするですが?」
思いを巡らす俺にさくらが、いぶかしげに俺を見る。
意を決し言葉をつむぐ。
「さくら、お前は俺と兄弟としてでは無く一緒にいるのは嫌か?」
「兄妹としてでは、無く?」
問われている意味が掴めないのだろう。
首をかしげる。
「つまり、兄様では無く、一さんと一緒にいるって事ですか?」
「ああ、そうなるな」
「私は、兄様でも一さんでも一緒に居るのが嬉しいです」
「そうか、では、その俺と恋人になるのは嫌か?」
「え?」
時が止まったように思えた。