薄桜鬼 逆トリップ 斎藤
□出会い
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※斎藤視点
斗南の家へと帰ろうと家の戸に手を伸ばした瞬間、突如、眩い光に包まれた。
そして
気が付くと、見知らぬ場所・・・・
どこかの家の中のような場所に自分が置かれているのだった。
目の前には、少女と少年が居た。
突然現れたであろう俺を見て驚いた様子ではあったが、少女は「斎藤さん?」と声を発したのだった。
何故に、俺の名を知っている?そしてここは何処なのだ?
疑問が渦巻き、質問が口から出ていく。
ここが、俺が居た世の150年ほど後の世の横浜だと知る。
少女は、桜木 すみれと言って少女ではなく22歳の女性であった。
少年は一也と言ってすみれの弟で11歳。両親が亡くなりすみれが育てているという。
そして俺を有名だと言い、一也は俺を、げえむの人だと言って1つの冊子を手渡された。
そこには懐かしい仲間たちが描かれていた。
暫しの間、同志の面々の絵を見つめ、思いを馳せた。
次から次へと出て来る疑問にすみれは丁寧に答え、時折一也が横やりをいれる。
色々と話しているうちに夜が更けていて俺は「行く当てがないでしょう?」というすみれの言葉に従い、この家に世話になる事が決まった。
一也が風呂に向かい2人になるとすみれは両親がいないから一也をしっかり育てねばと言う。
しっかりとはどういうことかと聞けば
「両親が居ないのが理由で何か我慢したり、自分を可哀想って思う事なく、まっすぐな人間になって貰いたいんです」
そう話すすみれの横顔は志の強く真っ直ぐな者のそれであった。
そして初めて会ったというのに、すみれの力になりたいと思ったのだった。
床につき一也と枕を並べていると声をかけらえた。
「ねえ、斎藤さん姉ちゃんってどう思う?」
「どう・・・とは?」
唐突な問いに意が分からず聞き返す。
「んー、煩いとかガキっぽいとか色気がないとか」
提示する例が悪い意ばかりのような気がするが・・・
「そうだな、志が強くしかし他の物に弱みを見せぬ性質だな。きっと自分にも厳しいのであろう」
先ほどのすみれとの会話を思い出しながら答える。
「なるほどね、確かに俺、姉ちゃんが泣いたとこ見た事ないや。
じゃあさ、顔は?顔は好みのタイプ?」
「たいぷ・・・とは?」
好みは分かるが「タイプ」という言葉の意がわからぬ。