薄桜鬼 逆トリップ 斎藤
□訪問者
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玄関のチャイムが来客を知らせる。
「誠法律事務所の者です。
如月様からの依頼でご挨拶に伺いました」
如月・・・母の事故の関係者だ。
すごい資産家かつ良い方で一也が成人するまでと色々世話になってる。
しかも会うのは私達姉弟が辛いでしょう?といつも弁護士を通じてのやりとり。
「はい」
ドアを開け目の前にいる人物を見て私は固まってしまった。
――この人――
「こんにちは、連絡が遅れて申し訳ありません。
急で申し訳ないですが今月からうちの事務所で僕が担当弁護士です・・・ね、僕の顔に何か付いてる?人の顔を凝視して固まってるのはどうかと思うけど?」
「す、すみません」
失礼・・・だったよね。
「んー?一目惚れしちゃった?それとも、誰かに似ている?」
そう、そっくりです。声までもそっくり。
呆けていると、奥の部屋から斎藤さんが出てきて声をかけてきた。
「どうかしたのか?すみれ・・・」
「えっと・・・
私が答えようとすると目の前の弁護士さんが声をあげた。
「一君?なんで一君がここに居るのさ」
「・・・総司、なのか?」
あはは・・・やっぱり?
そう、目の前の弁護士さんは薄桜鬼の沖田総司そのものにしか見えなくて私はフリーズしてしまったのだった。
「説明、してもらえるかな?」
居間に移動して向かいあって座る私達(斎藤さんは私の隣)
沖田さんは笑顔だけど、なんだか怖いです。
その怖い笑顔を見つつ、口を開いたのは私。
「私がゲームをしてたら電気が消えて、点いたら斎藤さんが居ました」
「はあ?なにそれ、わかんないよ。適当な事言ってると酷い事しちゃうよ」
だって、本当なんです。
「総司・・・すみれは嘘をついていない。脅すな」