□思惑
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その日は朝から変な胸騒ぎがしていた。

学校から帰ると店にいる筈のない人がそこに居るのを見て自分の胸騒ぎが的中した事を知った。

「瑛、久し振りだな」

「・・・・なんだよ、何しに来たんだよ」

一番顔を合わせたくない親父がそこに居た。

「親に対してなんだ、その口の利き方は・・・
まあいい。今日はお前を連れ戻しに来たのだからな。口の利き方なんて、これからゆっくり直せば良い」

――え・・、今なんて?――

「どういう事だよ」

「どういう事かは、父さんが聞きたい。お前、モデルの彼女がいるそうじゃないか。
彼女の事務所の方から父さんに連絡があった」

――事務所の人――
葉月さんの忠告を思い出す。おそらくマネージャーだろう。

「だから、なんだって言うんだよ。アンタには関係ないだろ」

――どうせ、自分の仕事への影響しか考えてないだろ――

「今は、まだ、な。
だが今後はわからないだろう。普通の子ならまだしも、モデルなんかと・・・」

ゆかりが「なんか」呼ばわりされたのにカチンときて

「彼女の何を知ってるんだよ。
モデルは珊瑚礁が原因だし成績は俺より良い。性格だって・・・」

「成績?入学からずっとトップらしいな、彼女については色々調べさせてもらったよ」

「調べる?なんでだよ」

「そりゃあ、お前のためだ。
彼女、高校入学前の経歴が全く無いという事がわかった。何処に住んでいたかも何処の中学だったのかも・・・おかしいと思ないか?」

――白紙?俺も知らないが調べても出てこない――

でもアイツは確かに俺の目の前にいるし・・・

「それがどうしたんだよ。ゆかりの昔の事は葉月さんが知っているよ。葉月さんの親友をアイツはお姉ちゃんだって言ってた」
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