□伝えたい事
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※瑛視点


葉月さんに連れられて入ったホテルの部屋はツインだった。


「2人、一緒の部屋なんですね」

ゆかりの手を離したのは自分なのに、もう時間は戻せないのに言葉が出る。

「ああ・・・俺はダブルでも構わなかったんだけどな」

「え・・・・」

「冗談。
ゆかりが倒れないように一緒に居るって約束したから」


ホテルのソファに葉月さんとゆかりが並んで座り、俺が向かい合う。

「あの、どうして学校が分かったんですか。それに色々調べたって・・・」

教えて貰えないかもしれない。だけど聞かずにはいられなかった。

「誰に聞いたかは言えない。でも話せる事は全部話す」

そして葉月さんは話し始めた。

「佐伯君とゆかりは修学旅行中にツーショットを写真誌に撮られてる。
それはウチの事務所が学校行事中だと言う事で揉み消した。
ただ撮られた事実だけを佐伯君のお父さんに伝えた」

だから親父が俺たちの事を知ったってわけか。

「問題はこの後だ。
君のお父さんはモデルやモデル事務所をバカにする発言をして・・・ウチの事務所を怒らせた。
そして、その後の行動は火に油を注ぐ事になった」

「そんなの瑛の所為じゃないよ」

ゆかりが小さく呟く

「ああ、それは分かってる。
でも・・・お前を傷つけた。俺はそれは許せない」

「許せない」その言葉が普通の口調なのが逆に気持ちが伝わって来る。
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